インドネシア新型電車「中国受注」でも日本に商機 国産車は日本製機器採用、大統領選も影響?
歴史的転換点だ。インドネシア独立後、初めて他国からの融資に頼らない完全自国予算による海外からの「新製電車」調達が始まる。日本製車両が有力視されていた中、インドネシア通勤鉄道(KCI)は1月31日、新型通勤電車12両編成3本の購入に関わる正式契約を中国中車青島四方(CRRC)と結んだ。契約金額は約7830億ルピア(約74億630万円)、納期は15カ月を予定している。形式名はKCI-SFC120-V形だ。
インドネシア政府が中古車両の輸入禁止を決定してから半年ほどが経過したが、KCIの利用者は増える一方で、本格的な車両増備は待ったなしの状態だ。いよいよ「輸入新車」「国産新車」、そして既存車両の更新「レトロフィット」に動きが見えてきた。KCIの車両調達をめぐる最新動向をレポートする。
有力案だった「E235系導入」
2023年6月の中古車両緊急輸入申請の却下(2023年7月19日付記事「インドネシア『日本の中古電車輸入禁止』の衝撃」参照)は、日本にとって激震と言えた。だが、同時にインドネシア政府は今後の車両増備に対し、以下の4つの指針を示した。
② INKA(国産)製の新型車両を2025~2026年に導入すること(12両編成16本)
③ 既存の経年車を①・②に並行してINKAにて改修(レトロフィット)すること(19本程度)
④ INKA製新型車両を2027年に導入すること(12両編成8本)※オプション
その後、政府はKCIの車両導入および改修に関わる費用について約5兆ルピア(約472億9750万円)の国家予算を投じたと発表した。中古車両導入用としてKCIが国内銀行からの長期借入を含めて用意していた約3.65兆ルピアと合わせて予算は約8.65兆ルピア(約818億3190万円)に達し、①~③のみならず、オプションとして設定されていたINKA製新型車両の追加契約も確実となった。
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