たとえば2008年から在籍したアップルでは、iPhone向けに初めて同社が自社設計した「Aシリーズ」の初代となる「A4」や「A5」チップの開発を担当した。
2012年にはかつていた半導体メーカーのAMDに戻り、PC向けの「zen」シリーズを開発。AMDはこのシリーズの貢献によって、PC市場で圧倒的だったインテルとのシェアの差を縮めることに成功する。
その後、2016年からはEVメーカーのテスラに移籍。自動運転システムのための半導体を内製化するプロジェクトの中心人物として活躍した。
2020年まではインテルで次世代チップの開発に従事。自らがAMD時代に手がけたチップの影響などで劣勢が続いていたインテルが反転攻勢するための半導体の開発に携わってきた。
つまり、主要メーカーを渡り歩きながらパソコン、スマホ、自動運転と、その時代の最先端分野の半導体の開発に関わってきたと言える。
そうしたケラー氏の経歴から、テンストレントにはAMDやアップル、テスラ、インテルなどで共に働いたメンバーが彼を慕って集まってきている。
GPUを超えるAI半導体を開発
ケラー氏が次のターゲットとして見据えているのが、AIに特化した最先端半導体の開発だ。
現状、エヌビディア製を筆頭にGPU(画像処理装置)がAI半導体として大きな注目を集めている。だがもともとは3Dゲームなどのグラフィックス描画装置として使われていたGPUの構造は、AI処理に「向いている」ものの「特化している」わけではなく、非効率な部分も多い。
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