「無印良品」あえて過疎地で大型店を出した意味 無印良品はいかに「土着化」しているか(1)
2023年8月期の決算で、無印良品を展開する良品計画の直営店全店とネット販売は前年比111.4%となり客単価も112.7%と好調だった。6月に9店舗、9月には10店舗をオープンしており、これが業績に寄与した格好だ。2021年に代表に就任した堂前宣夫氏はかつてユニクロで活躍し、金井政明会長が訴える「第二創業」に向けて拡大路線を進んでいる。
ただ通常の小売りの出店と異なるのは、各地域を管轄するコミュニティ・マネージャーが、地元と交流をして行う「個店経営」を進めていることである。彼らは大きな裁量を持ち、柔軟に店舗の土着化を行うのが特徴だ。
これから3回にわたって、新潟県・直江津、北海道・函館、山形県・酒田の無印良品における土着化の取り組みを通じて、地方の現状と将来を考えてみたい。そこからは今、地方が抱えるリアルな課題が見えてくる。
世界最大規模の店舗を直江津にオープン
2023年の10月に新潟で7店舗目の無印良品燕店がオープンした。この近年の新潟の順調な店舗展開の仕掛け人は、古谷信人だ。ただ彼が最初に新潟に赴任した時は、雪国での成功を予想できる人は社内でも少なかった。
その始まりは、2020年、世界最大規模の上越市直江津の開店だった。人口が減り、大手スーパーが撤退した跡地の、巨大店の運営をどうやって成功させたのだろうか。
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