日本の583系も展示、動き出す台湾「鉄道博物館」 JR東から譲渡受け所蔵車に、2027年開業目指す
このほかにも、現地では動態保存されているアメリカのエレクトロ・モーティブ・ディーゼル製R20型ディーゼル機関車やイギリス製のWICKHAM 38と呼ばれる長官向けの工事現場視察車両といったマニアックな車両がパフォーマンスを行い、警笛の音が構内に響き渡る、操業当時のイメージを演出した。
台湾は客車やライセンス生産を除き、ほとんどの車両製造を海外メーカーに頼ってきた。日本製のほか、南アフリカや韓国、近頃はスイスのシュタッドラー製ディーゼル機関車を導入するなど、今も昔も多国籍だ。実際、博物館でも初代自強号と呼ばれたイギリス製のEMU100や初代の通勤電車であるEMU400を展示。車内も同時に開放され、日本製の客車を用いた食堂車や荷物車の車内では当時の様子を忠実に再現し公開した。
583系や「輸出車」までユニークな展示車種
注目すべきは、一見台湾とは関係ないと思われる車両まで展示していることだ。今回の展示会では表に出てこなかったものの、博物館は日本の国鉄が導入した寝台電車583系の中間車2両(モハネ582-106・モハネ583-106)をJR東日本から譲渡を受け、2017年に所蔵した。
その目的はどこにあるのだろうか。実は台湾でも日本統治時代から1983年にかけ、西部幹線を中心に寝台列車が運行され、中には583系のように下段が座席にも寝台にもなる可変式の車両も採用されていた。しかし、廃車の時点では政治体制などから文化遺産に対する理解が深まっていなかったこともあり、寝台客車は早期の木造車両1両を残し、1995年までに解体されてしまったのだ。そこで、同様の特徴を持つ車両を通じて記憶を再現すること、また、世界の名車両を展示することで、広い視点から鉄道の歴史を理解してもらうことを目的に所蔵を決めたという。
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