「なぜ」の専門家、人類は知性で幸せになったか? 『もしニーチェがイッカクだったなら?』書評

✎ 1〜 ✎ 71 ✎ 72 ✎ 73 ✎ 最新
拡大
縮小
『もしニーチェがイッカクだったなら? 動物の知能から考えた人間の愚かさ』ジャスティン・グレッグ 著
もしニーチェがイッカクだったなら? 動物の知能から考えた人間の愚かさ(ジャスティン・グレッグ 著/的場知之 訳/柏書房/2420円/284ページ)
[著者プロフィル]Justin Gregg/ドルフィン・コミュニケーション・プロジェクト上席研究員。加聖フランシス・ザビエル大学の非常勤講師として動物の行動学と認知学について教える。日本とバハマで野生のイルカのエコーロケーション能力を研究。

なんともぶっ飛んだタイトルだ。そして、一冊を費やして繰り広げられる主張も、タイトルに負けず劣らずぶっ飛んでいる。

人間は自らの知性を生物界において卓越したものと考え、その知性あればこそ人類は数々の偉業を成し遂げてここまでの繁栄を築き上げた、と信じている。だが、知性とはそこまで「よい」ものなのか。もっとシンプルな方法論で自然界を生き抜き、人間のように殺し合い、騙(だま)し合うことなく暮らす動物のほうがよほど幸せではないか、というのが著者の主張だ。

タイトルにあるニーチェは、高い思考力のあまり自らを破滅に追い込んだ人物、イッカクはシンプルな行動原理で幸せに生きる動物の代表であるらしい。

次ページ人類の知性が持つ最大の欠陥とは
関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内