なぜ平等で格差が小さい社会ほど幸福度が高いか 「親ガチャ社会」の日本に未来がない納得理由
加速する「スーパー資本主義」、持続可能性を前提とする「ポスト資本主義」の「せめぎ合い」はどこへ向かうのか。このたび上梓された『科学と資本主義の未来──〈せめぎ合いの時代〉を超えて』著者で、一貫して「定常型社会=持続可能な福祉社会」を提唱してきた広井良典氏が、同書をもとに「平等」と「幸福度」の関係を解き明かす。
国際比較から見えるもの
昨今、「幸福」あるいは「ウェルビーイング」というテーマへの関心が高まり、企業ないしビジネスの領域でもこの話題が取り上げられることが多くなっている。
筆者自身、以前、こうした主題について論じ(「いま再び「幸福」が社会的テーマになっている理由」2021年9月29日)、また2023年4月に刊行した『科学と資本主義の未来――〈せめぎ合いの時代〉を超えて』でも関連する考察を行った。
一方、このように「幸福」「ウェルビーイング」に関する議論が活発になる中で、にもかかわらず日本において十分に注目されてこなかった重要な話題がある。それは、社会における「平等」、裏返して言えば「格差」の度合いと「幸福」や「ウェルビーイング」がどのような関わりをもつかというテーマであり、これは後述のように、近年の日本は先進諸国の中で経済格差が最も大きい国のグループに入っていることを踏まえれば特に重要な意味を持つテーマだろう。ここではこうした点について、幅広い角度から考えてみよう。
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