UUUMが「過去最大の赤字」、創業10年で迎えた危機 ショート動画拡大が逆風に、決死の人員削減へ

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例えば、同社専属のYouTuberである竹脇まりな氏と共同で展開するブランド「MARINESS」では、プロテインが大ヒットとなり、業績にも寄与している。4月にはヒカキンによる初のブランド「HIKAKIN PREMIUM(ヒカキン プレミアム)」を始動させ、カップラーメンの「みそきん」は発売後すぐに売り切れとなるなど、大きな話題を呼んだ。

UUUMの売上高内訳

こうしたP2Cブランドなどの積極展開を進めるものの、2023年5月期の売上高ではアドセンスが約4割と、依然として大きな割合を占めている。拡大するインフルエンサーマーケティングへの対応の遅れや、P2Cでも前述の通り在庫コントロールの難しさから評価損を出すなど、思うように事業を伸ばせていないのが現状だ。

構造改革で15~20%の人員を削減

UUUMは過去最大の赤字を計上したことを踏まえて、大規模な構造改革を実施すると発表した。

柱の1つが人員削減だ。今2024年5月期中に、契約社員も含めて全体の15~20%程度の人員を削減するという。

UUUMの従業員数は、2023年5月末時点で677人(臨時雇用を含む)。専属クリエイターを大幅に減らした一方、業界内では「本部社員が多すぎる」との声も上がっていただけに、業績低迷が続く中ではやむを得ない決断だろう。

会社側は人員削減の対象者数や詳細なスキームを明らかにしていないが、取材に対し「生産性の高い事業への人員配置を行うことで、人的資源の最適化を進める」と回答している。

不採算事業の整理にも着手する。収益改善の難しい自社運営チャンネルや一部のP2Cブランド、さらにはライブ配信事業からも撤退する。ライブ配信事業は2022年に「LIVE Network by UUUM」というライブ配信者向けの事務所を設立するなど、事業を本格化させたばかり。「事業の撤退に合わせ、今後の運営については社内で検討する」(UUUM IR担当者)という。異例の早期撤退には同社の焦りもうかがえる。

今回の決算について、「過去最大の赤字は、過去最高益のために」と弁明したUUUM。数々のリストラ策によって一時的な収益改善効果は期待できるものの、過去最高益に向けた突破口はいまだ見えないままだ。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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