「限界でもやれ」頑張り方間違えたコンサルの盲点 クライアントが真に求める「最適解」を導く方法

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コンサル社員
自分を犠牲にしてまでする仕事に意味があるのでしょうか。クライアントが真に求めていることを見極める必要があります(写真:kouta/PIXTA)
昨今、東大生に人気の就職先として、コンサルティングファームの名前が挙がるようになりました。就職・転職サイト「OpenWork」を運営するオープンワーク(東京都渋谷区)が発表した「23卒就活生が選ぶ、就職注目企業ランキング」によると、ランクインした全21社中7社がコンサル会社でした。
そんなコンサル業界最大手で12年間サバイバルしたという、メン獄氏の新刊『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』では、コンサル業界の生々しい体験談とそこで得たノウハウが描かれます。本記事では、同業界以外のビジネスパーソンにも役立つエピソードを、本書から一部抜粋のうえお届けします。

ある冬の日、池袋の国道で

ある冬の日、上司のヤマウチが高熱を出し、1週間の病欠をとらざるを得なくなった。当時の私はすべての仕事をヤマウチに相談しながら進めていたために、彼のいない1週間は前例のないプレッシャーを伴う時間になった。

当時ヤマウチと私は、プロジェクトの最も難しい課題の方向性をどのようにクライアントに提案するべきかを悩んでいた。残されたプロジェクト期間は少なく、その仕事以外のやるべき仕事も大量に積み残っている状況の中、私一人でその課題をクライアントの満足いく形で集結させることは実質不可能だった。

私は思い悩んだ末、クライアントに現在の状況を説明し、この課題を今回のプロジェクトの検討から外すことの承認をもらうことができた。ヤマウチと私が体力の限界まで働く姿を見てくれていたからなのか、クライアントは「そこまで無理されなくて大丈夫です。また来年やりましょう」と言ってくれたのである。

そのクライアントの言葉を聞いて、私は心底安心した。はじめて自分で悩んで決めて出した答えによって、仕事が一つ前に進んだと感じ、純粋に嬉しかった。何より病床に伏すヤマウチにさらなる無理をさせなくてすむのは、大きな収穫であった。

私は会議の後、すぐにヤマウチに電話でその結果を伝えた。しかしヤマウチの反応は想像とはまったく異なるものだった。

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