60代では、知能は低下しない
わたしたちが一般にいだく高齢者のイメージ──運動機能が低下し、動作が鈍い、歩行速度が遅い、記憶力、判断力など、知能テストの点数が落ちる、といった症状は、実は、75歳以上の方に見られはじめるものだ。なかには、80代まで変わらない人もいる。
少々古い調査で恐縮だが、通称小金井研究と呼ばれる、小金井市の一般住民の調査でも、73歳の段階では、いわゆる動作性知能も運動知能も、平均で100を超えている。
これは、1980年代後半、小金井市に住む70代の高齢者300人を選び、WAIS成人知能検査を行い、3年間の追跡調査をしたもの。
知能の因子構造については言語性知能、動作性知能、言語的記憶、図形的記憶の4因子が示され、いずれも、3年後も落ちなかった。
上のグラフにあるように、一般に動作性知能は年齢によって低下していくことが認められているが、逆に言語性知能については、歳をとっても維持されるのである。
つまり、60代は、知能という点では、4、50代とさほど変わらない。歳をとったからといって、頭が使えないとか歩けなくなるわけではない。
問題は、頭を使うのがおっくうになったり、歩くのがおっくうになったりすることなのだ。
50歳からの勉強を考えるときに、最初に知っておかなければならないのは、この意欲の問題である。意欲をどう維持するかが、最大の課題となる。
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