再建15年、福井鉄道「尖った新型車」に込めた思い 期待膨らむ?乗客増の立役者「フクラム」後継車

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福井鉄道「フクラムライナー」
福井鉄道の新型車両F2000形「フクラムライナー」(記者撮影)
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2024年春に金沢から敦賀(福井県敦賀市)へ延伸開業する北陸新幹線。沿線では駅の整備などが急ピッチで進み、初の新幹線を迎える福井県は観光交流の増加や地域活性化に向けた「100年に1度のチャンス」と期待する。

すでに新幹線の駅舎が姿を現した福井駅には、JRのほかに2つの鉄道が発着する。東口に高架駅を構える第三セクターのえちぜん鉄道と、西口駅前広場に乗り場があり、市内中心部では路面を走る福井鉄道(福鉄)だ。どちらもかつて存続問題が浮上したが、地域の支援を受け経営を再建。2016年3月には両鉄道の直通運転を開始し、全国的に地方鉄道の苦境が続く中で利用者数の増加を成し遂げた。

再建とともに、福鉄は床面が低く乗り降りしやすい低床式の路面電車タイプの車両F1000形「フクラム」を2013年以降4編成導入した。初代の登場から10年目となる今年、モデルチェンジした後継の低床車両F2000形「フクラムライナー」がデビューする。

丸っこい先代、角ばった新型

福鉄は、同県越前市のたけふ新と福井駅・田原町(ともに福井市)を結ぶ約21kmの福武線を運行する私鉄。同線は福井市内中心部は路面、ほかは専用の軌道を走り、路面電車と郊外鉄道の性格を併せ持つ路線だ。かつては一般的な鉄道車両を使っていたが、現在は路面電車タイプの車両を使用している。

F2000形「フクラムライナー」は、F1000形「フクラム」に続く5編成目の低床車両だ。「これまではフクラムが4編成だったため、1編成が検査に入ると朝ラッシュ時に(収容力の小さい)ほかの車両を運行することになり混雑していた。大型の低床車両が5編成に増えることで、より快適に利用していただける」と、同社の村田治夫社長は期待感を示す。

福井鉄道の「フクラム」F1000形
初代の低床車F1000形「フクラム」。丸みのある外観だ(記者撮影)

丸みを帯びたデザインのF1000形とは対照的に、新型は直線的な角ばったデザインが特徴。カラーリングも、オレンジやブルーなど編成ごとに違う色を基調とするF1000形とは異なり、F2000形は白地に青と緑のラインを配した福鉄の従来車に近い塗装だ。「外観は直線を基調として次世代の車両を表現した。直線的なフォルムに合わせて、塗装のラインも全部直線にしている」(澤﨑幸夫常務取締役)という。

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