中学受験の成否を分ける「自走できる子」の家庭 親の管理で合格しても子は自己肯定感を持てない

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最近では「中学受験は親次第」というフレーズが先行し、親が勉強の面倒を見過ぎる傾向があることを長谷川さんは懸念している。

「子どもが勉強しやすいように全て親がお膳立てしてあげるのは幼児教育の考え方。最近、中学受験が幼児教育化していると感じます。お子さん4人を東大理IIIに合格させた佐藤ママさんの影響が大きいと思うのですが、彼女はご自身のお子さんに合ったことをやっていた訳です。その前後関係を無視して『書き込みやすいようテキストを拡大コピーしてあげる』とか、一部分だけ丸ごと真似をするのは、あまりに考えていないと思ってしまいます」

入塾前に、挫折を乗り越える経験を

内向的なタイプの親の悩みに対して、外向的な欲求に基づく悩みは「対外的に自分の子ども(と自分)が認められたい、ほめられたい」欲求が根強いという。

「華やかで、いわゆる『陽キャラ』なお母さんに多いパターンだと思います。小学校受験に夢中になって、不合格が決まった瞬間に『6年後にこの屈辱を晴らしたい』と私にメールを送ってくるのもこのタイプ。屈辱を感じているのは親だけだし、それでは子どもの受験になりません。学校名など見栄え的な部分にやたらとこだわります。そういう親御さんは子どもを他の子と比べてしまいがちです。

小4頃までは(早生まれかどうかなどで)発達スピードの差が大きいので成績を比べる必要はないと思います。中学受験では成長が間に合わなかったとしても、少しペースダウンしてレベルに合った学校に入れればいい。14、15歳になるとほとんど発達スピードの差がなくなるので冷静に見守ることが大切です。そこで必死にやらせて子どもが勉強を嫌いになってしまったり、親子仲が冷え切ってしまうのが1番よくありません」

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