ただ、心身ともにつらいのは、夫も同じです。女性の更年期障害と同様、男性ホルモンが著しく減少することによって、男性更年期障害(LOH症候群)を引き起こす場合があります。
これは、漫画家のはらたいらさんが告白したことで、その病の存在が知られるところになりました。意欲低下や行動力の減退など男性ホルモン減少の症状に加え、ほてり・発汗・睡眠障害・抑うつ・イライラ・不安感など、女性の更年期障害と同じような症状が出ることがあります。
体がしんどくて、何をするにも億劫なのにもかかわらず、妻からは「寝てばかりいないで、たまには掃除でもしてよ」などとうるさく言われてしまう。これでは、休まるはずの家が針のむしろになってしまいます。
男性ホルモンの影響がある上に、年齢的にも夫のほうが年上のケースも多いですから、悲しいかな、妻よりも先に老いを感じていることもあるでしょう。妻は、夫がつらそうに見える時はあれこれ求めず、そっとしておくのが得策です。
ともあれ、定年後の夫婦がストレスなく過ごすためには、お互いにとって心地いい「つかず離れずの距離」をとることが一番。一定の距離をとることで、心に余裕が生まれ、相手に対する感謝の気持ちがよみがえるようになります。また、相手の嫌な部分が小さくなり、逆によい面が見えてくることもあります。
自分の望む形をメモに書いてみる
これまでの近づきすぎた関係性を改め、いざ「つかず離れず婚」にチャレンジするにあたり、大事にしてほしいことがあります。
それは、「相手とどういう距離感なら心地いいか?」「家事や家のことなど、どこまでなら気持ちよくできるのか?」、自身の望みを明確にすることです。
例えば、このような形で望みをメモに書いてみるといいでしょう。
・食事は各自、別々にとるようにしたい
・何を食べたか、どこに行ったか、お互い詮索しないようにしたい
・炊事、洗濯、掃除など家事は完全に分担したい
・寝室を別にしたい
・起床や就寝時間はそれぞれ自由にしたい
・泊まり以外の外出は相手の同意を得ず、自由に出かけたい
「こんなに自分の望みばかり考えて、わがままじゃないか?」なんて思わなくて大丈夫です。
相手がどう思うか、できるかどうかは一旦脇に置いて、自分が本当はどうしたいのか、何をしたくないのかを先に考えてみてください。こうして希望を整理するだけでも、スッキリするはずです。
ただ、望みが明確になったとはいえ、何も言わずに始めると、相手も混乱するでしょう。不要なケンカや軋轢を生むハメになり、それはそれで面倒です。自分の希望は何らかの方法で相手に伝えることをおすすめします。
いざ実行するにはどうするのがいいのか。話を切り出した際に、すんなり同意してくれるとは限りません。当然、相手の性格やこれまでの関係性によっては、なかなか聞き入れてもらえない場合もあるでしょう。
いずれにしても大事なのは、「自分はこういう理由で〇〇したい」と、キッパリ宣言してしまうことです。なぜなら、相手が納得するまで話し合いを続けていたら、何も変わらないまま、年月だけが過ぎてしまうからです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら