でも、「夫のため、家族のために」と、やってあげればあげるほど、「私ばかりがやっている」「なんでありがとうの一つも言えないの?」と不満を募らせる人も多いのではないでしょうか。
夫は夫で、かいがいしく自分の世話をしてくれる妻に新婚時代こそ喜びと感謝を感じていたものの、それがいつしか当たり前になり、自分の思う通りにやってくれないと不満が出るようになる。「俺は妻や子どものために我慢して働いているのに……」と、怒りを増幅させる人も少なからずいることでしょう。
「相手のために」と思うほど、期待もどんどん膨らんで、その挙句、自分の思う通りに振る舞ってくれないと、怒りがふつふつと沸いてくる。こうした近づきすぎた関係性は、決して心地よいものとは言えません。
だとすると、一線を引いて、相手に何も期待しない、求めないほうがストレスもなくなるし、気が楽というものです。
「相手に期待しないなんて、愛情が薄いんじゃないか? ドライで冷たい関係性になるんじゃないか?」と思う人もいるかもしれませんが、それで自分自身に我慢やストレスを強いて、病気になってしまったら元も子もありません。
距離を置くことが「夫源病」の一番の薬
定年前は、夫が毎日出勤していたので、妻は日中、息抜きやリフレッシュができました。夫も会社に行くことで、家庭のストレスや細々した問題から逃れられていたことでしょう。
でも、仕事を完全リタイアして、24時間夫婦が顔を突き合わせるようになれば、いくら仲がよくてもさすがに息が詰まりますし、相手の嫌なところも目につきやすくなります。言わなくていい小言をつい言ってしまうことだってあります。
以前、タレントの上沼恵美子さんが、夫の定年退職を機に「夫源病(ふげんびょう)」を患ったというニュースが話題となりました。
「夫源病」とは、夫の言動によるストレスが原因で、めまいや動悸、胃痛、不眠、気分の落ち込みなど妻の心身に不調をきたす病気です。男性更年期外来を開設する、医師の石蔵文信氏が名付け親であると言われています。
この病の解決策は、ズバリ、夫と距離を置き、適度にストレスを発散すること。
上沼さんが旦那さんと別居をして、距離感をとったことで楽になったという記事を見かけました。「相手と物理的に離れる」「接する時間を短くする」ことが最良の薬になることを証明してくれています。
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