中古車販売大手ビッグモーターによる保険金水増し請求問題をめぐって、組織的かつ意図的な不正行為の疑いが強まり、経営陣への責任追及が避けられなくなってきた。
同社はこれまで、水増し請求問題に対する自主調査の結果として、「(板金)工場と見積り作成部署との連携不足や、作業員のミスなどにより一部で誤った保険金請求が行われている」「意図的なものでないことを確認している」として、あくまで“過失”であるとの主張を繰り返してきた。
ところが2022年12月以降、ビッグモーターはそれまでの主張を突如として翻し、「事故修理時の保険金請求において複数の工場で重大な疑義事案が生じている可能性が認められた」として、取引のある大手損害保険各社に対して、弁護士を入れた第三者調査チームを設置することを提示してきたのだ。
第三者調査の実施を粘り強く求めていた
第三者調査の実施は、ビッグモーターが2022年夏に実施した自主調査が杜撰なものだったと事実上認めることになる。それゆえ、経営陣の抵抗感は強かったはずだ。にもかかわらず第三者調査に踏み切ったのは、日増しに強まる損保からの圧力をかわしきれなかったからだろう。
一部の損保は今年の夏以降、ビッグモーターの「過失主張」に納得せず、工場作業員へのヒアリングといった独自の調査を実施。その中で複数の工場において「工場長などから(水増し請求を)指示された」との証言を得ていた。さらにその事実をビッグモーター側に突き付け、第三者調査の実施を粘り強く求めていたのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら