次世代の鉄道車両「主役」は水素かハイブリッドか 当面は「すぐ使える」バイモード車両が先行?
2年に一度、ドイツ・ベルリンで開催される国際鉄道見本市「イノトランス」は、鉄道メーカーにとって自社の技術を発表する晴れの舞台だ。中でも車両は、それなくして商売が成り立たない鉄道業界の基幹製品であり、かつ会社の顔となる存在でもあるから最も注目を浴びる。メーカーにとっては、自社をアピールするうえで絶好の機会であることは間違いない。
したがって多くのメーカーは、これまで自社製品の中でもとくに目立つ車両を展示することが多かった。すなわち旅客列車、それも高速列車などだ。ところが前回2018年は、近郊・通勤型車両など比較的地味な車両が多いという印象だった。4年ぶりの開催となった今年2022年も、期待された新型TGVや夜行列車ナイトジェットの展示はなく、前回同様に近郊型車両ばかりがずらりと並んだ。
見た目は地味でも「環境配慮」
だが、今回の各社の展示には1つのはっきりとした共通のテーマが浮かび上がっていた。環境問題である。これまでも環境への取り組みに対する展示は多かったが、今年はより一層明確になった印象を受けた。
展示されている車両は前述のとおり近郊型車両ばかりだったが、そのほとんどがバッテリーもしくは水素燃料電池、あるいはバッテリーと低公害ディーゼルエンジンを組み合わせたハイブリッド車両だった。中にはポーランドNewag(ネヴァグ)社の近郊型車両「インパルス」のように、4年前からほとんど外観はモデルチェンジしていないものの、ハイブリッド仕様へと進化した車両もあった。近郊用車両ばかりではなく、入換用機関車や保守用車両についても環境問題を意識し、低公害をうたい文句にした車両が多かった。
だが水素燃料電池かバッテリーか、その選択については各社で対応が分かれた。
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