さて、ここまで60代の脳に起こる現象の一部をご紹介してきました。性格が怒りっぽくなったり、柔軟性や適応能力が失われたり……という事実を知って、気分が落ち込んでしまった方もいるかもしれません。
でも、心配はいりません。頭葉は加齢によって縮むにしても、60代から生活習慣を見直していくだけで、機能の低下を遅らせることは可能だからです。
80歳を過ぎても大活躍した人々
今の時代は、若い人ほど前例踏襲しがちな事なかれ主義となる傾向が強く、20代からすでに創造性や意欲をなくしてしまっている人がたくさんいる一方で、80歳を過ぎても意欲にあふれて、大活躍する人がたくさんいます。
55歳にして「ファミリーコンピュータ」の開発を指示、61歳にして「ゲームボーイ」の発売を推し進めて大ヒットさせた任天堂元社長の山内溥さんも、前頭葉を使い続けた経営者のひとりでしょう。
また、84歳で亡くなるまで『ゴルゴ13』の執筆を続けた漫画家さいとう・たかをさんのように、80代になってもクリエイティビティを失わずに活動し続けたクリエーターもいます。
そのほか、経営学者のピーター・ドラッカーやノーベル賞を受賞した小柴昌俊さんなど、80代、90代になっても人前に出て、立派に活躍された人もいます。こうした方々を見ると、使い続けることで頭のレベルを保てることがわかります。
浴風会に勤務していた際、相当な高齢なのにつねにアクティブで若手に慕われている某現役政治家の脳のCT画像を見たことがあります。その方の前頭葉自体は「認知症なのでは」と思うレベルで萎縮していましたが、逆に考えると、脳が萎縮していても使い続ければ脳の機能は衰えないのだという大きな根拠を得たと感じました。
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