損保ジャパン「不正請求被害」も取引再開の深層 「トップ会談」ないがしろで払う大きすぎる代償

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損保ジャパンの外観
ビッグモーターへの損保ジャパンの対応には、業界内からもため息が漏れる(記者撮影)

中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求問題をめぐって(詳しくはこちら)、水に流すかのような対応に批判の声が集まっている損保ジャパン。9月以降、組織的な不正の疑いが強まってくると、慌てたようにビッグモーター追加調査に乗り出すその姿に、同業他社からは深いため息が漏れる。

風当たりが日増しに強まってきた9月15日、損保ジャパンの白川儀一社長は、日本損害保険協会の会長として定例会見に臨んでいる。会見では当然ながら、報道各社からビッグモーターの不正請求問題に関する質問が相次いだ。

「協会長としての立場なので、個別企業の事案に関するコメントは差し控える」。白川氏がそうした趣旨の受け答えに終始する中でも、白川氏自身の見解を求める質問が繰り返されたのは、ある理由があった。 

3社で「毅然と対応していく」はずだった

それは今回の不正請求をめぐる問題が、業界としてだけでなく、損保ジャパン社長個人としての信用問題にも発展しかねない事情があることを、報道各社が把握していたからだ。

その事情とは何か。それは今夏、東京都内で開かれたある会合で、東京海上日動火災保険の広瀬伸一社長と三井住友海上火災保険の舩曵真一郎社長、白川社長の3人が偶然顔を合わせたときのことだ。

この段階ですでに、ビッグモーターによる不正請求の疑いは濃厚になっていた。取引額上位3社のトップによる顔合わせとあって、話題は自然と不正請求問題になり、一丸となって毅然と対応していくことを「3人で確認している」(大手損保役員)という。

ところが、その後損保ジャパンは手のひらを返した。

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