中央快速線で再注目「2階建て車両」なぜ投入する? 展望を楽しむためか、それとも混雑対策か
最近話題の中央快速線向け2階建て車両。発表当初は2020年度導入に向けて準備が進められていたが、何度も延期され、JR東日本は2022年4月27日に、「2024年度以降の導入」と発表した。延期の理由はバリアフリー等の工程調整や世界的な半導体不足により、車両製造に関わる部品の調達が難しくなっている影響だという。
営業運転はまだ先の話とはいえ、今年7月に2階建て車両が完成し、豊田車両センターに到着されたのを見るとワクワクしてくる。2階建てグリーン車両が2両増結されることで、中央快速線はすべての列車が12両編成になり、各駅のホームが延長されるという点も注目の的となっている。
そもそも鉄道車両になぜ、2階建て車両が登場するようになったのか。そこをひも解きながら、代表的な車種のいくつかを紹介しよう。
最初は「話題作り」の導入
わが国において初めて2階建て車両が登場したのは1904年のこと。大阪市電で登場した1形(5号)電車である。なぜ、日本初の2階建て車両が大阪だったのかというと、当時の大阪市電は利用者の減少を食い止めるために、話題作りの種として2階建て車両1形(5号)を登場させたのだ。
1形(5号)は天井に2階席を備えた今でいう「オープントップスタイル」で、2階席の屋根はない。主に築港桟橋に向かう釣り人が利用することが多く、釣り竿を立てかけることができる箱がついていた。また夏には夕涼み、秋にはお月見を楽しむこともでき、乗車した人たちを楽しませた。
普通鉄道で2階建て車両が登場したのは1958年。近畿日本鉄道で登場した10000系・特急形電車ビスタカーだ。名古屋―大阪間で競合する国鉄東海道線に対抗するために、一部連接車両、2階建て中間車を2両組み込んだ高性能車両を導入した。
もちろん2階席も屋根付きで、いわゆる「ダブルデッカー」仕様の車両である。愛称は「ビスタカー」で、名前の由来はスペイン語の「ビスタ(Vista)」からきており、日本語で言うところの「展望」を意味する。
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