広島県知事が主張「国はJRのあり方を議論すべき」 赤字線区の収支だけ公開しても意味がない

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――地方創生とローカル線のあり方についてはどのように考えますか。

地方創生は住民の基本的なニーズを満たすことをベースに、地域をどう維持発展させていくのかということになる。もちろん、公共交通についても持続可能性も含めてどのように確保していくのかが重要だ。JRの鉄道路線があって一定の役割を担っている地域については、すでにある鉄道路線を生かすことを考えるほうが持続可能性が高い。あえて持続可能性の低いものにモード転換する必要はない。

――国鉄改革時に第3セクター鉄道に移管した路線のほうが、同程度の輸送密度のJR路線と比較して赤字額が少なく乗客の減り幅が少ないという指摘があります。

JRが運営することで持続可能性がないのであればやめたほうがよいのかもしれないが、それが本当なのかしっかり検証をするべきではないか。

赤字路線の収支だけ開示しても意味がない

――JR西日本の赤字30線区の収支状況の公開についてはどのように考えますか。

JR西日本の赤字30線区の合計額は約250億円であるが、一部の赤字路線の数字だけを開示しても意味がない。コロナ前の2020年3月期決算では鉄道事業を中核とする運輸部門では1053億円の営業利益を計上しており、内部補助も含めてローカル線の維持を本当にやれないのかという点については議論の余地はあるのではないか。

――今後の国に対してのアクションはどのように行いますか。

国土交通省の「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」では、ある程度地域の要望はくんでいただいているとは感じている。一方で、JRグループのあり方については議論されていないので、引き続き、要望、問題提起を続けていく。

櫛田 泉 経済ジャーナリスト

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くしだ・せん / Sen Kushida

くしだ・せん●1981年北海道生まれ。札幌光星高等学校、小樽商科大学商学部卒、同大学院商学研究科経営管理修士(MBA)コース修了。大手IT会社の新規事業開発部を経て、北海道岩内町のブランド茶漬け「伝統の漁師めし・岩内鰊和次郎」をプロデュース。現在、合同会社いわない前浜市場CEOを務める。

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