結婚10年、妻の暴力で「左肩脱臼」した男の告白 ビビビ婚の時からあった「夫婦の不仲」の予兆
結婚10年目、救急車で運ばれたあの夜
「左肩脱臼の男性患者ひとり、救急受け入れ可能ですか? どうぞ」
痛みとショックでほとんど働いていない脳みそに、救急隊員の言葉がおぼろげに入ってきた。冷静な男性の声音に頼もしさを感じる。
「混んでいますか。分かりました。他を当たりますね」
2020年9月8日午後10時45分、僕は救急車内にいた。場所は自宅の真ん前。着古した白い肌着と短パン姿で、体はストレッチャーの上だ。車内はエアコンで肌寒かったことから、下半身には黄色い毛布を掛けてもらった。
運転席の救急隊員は、搬送先の病院を探していた。その間、もうひとりの救急隊員が僕の右手に陣取る。こちらも男性だった。優しい声音が、初めて救急車に乗ることになった不安感をいくぶんか和らげてくれた。
「体の記録を取っていきます。ちょっと指借りるね」
コードが伸びる機器で指を挟まれた。「ピッ、ピッ、ピッ」という音が響き始めた車内で、男性が症状の確認に入る。頭は混乱していたが、質問に答えないといけない。
「こうやって左肩が抜けちゃったのは、久しぶり?」「かなり久しぶりです」
「何年ぶりぐらいかな?」「もう記憶にないぶりぐらいです」
「左肩以外に痛いところはないですか?」「ないです」
「引っ搔かれたとか叩かれたとかはない?」「それもないです」
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