「ヨーカドー幕張店」激戦区の大改装に差した光明 利用者の買い回りを意識、回復につながるか
千葉県・幕張といえば、小売り大手イオンが本社を構えるおひざもとで、「イオンスタイル幕張新都心」や「イオンスタイル幕張ベイパーク」など、イオングループの店舗が軒を連ねる。そんなイオンエリアの中で、競合のイトーヨーカドー幕張店が7月上旬に大変貌を遂げた。
特徴的なのは大胆なレイアウト変更だ。これまで2階にあった衣料品や生活雑貨を、食品売り場がある1階にすべて集約。ワンフロアで買い回りできるレイアウトに一新した。とくに目立つのが日用品や医薬品の拡大だ。トイレ用洗剤だけでも、3つの商品棚にずらりと並ぶなど、品ぞろえが充実している。
一方、空いた2階には、ロフトといったイトーヨーカドーと同じセブン&アイグループのブランドをはじめ、ダイソー、ニトリ デコホームなど、さまざまなテナントが入った。
売り場を回る仕掛け
従来は1階と直接つながっている平面駐車場からの来店客は1階の食品売り場だけにとどまる傾向にあった。一方、3階以上の立体駐車場から降りてくる来店客も衣料品などを扱う2階を素通りして、1階の食品売り場に降りてくることが多かったという。
「正直、食品しか見て帰らないお客様が非常に多かった。(衣料品なども)ワンフロアに集約すれば、お客様にしっかりと売り場を回っていただけるのではないか」。幕張店の福田秀人店長は改装の狙いについてそう語る。
衣料品や生活雑貨が含まれるライフスタイル部門の改装後3日間の売り上げは前年比で6%伸びた。とくに婦人衣料が13%増、紳士衣料が8%増と不振の原因となってきた衣料品部門の改善が大きかった。
他方、今回の改装では、食品売り場は一切変更されていない。実は幕張店は食品の売り上げが全国のイトーヨーカドーの中でトップ5に入る。ただ、衣料品や生活雑貨などのライフスタイル部門が足を引っ張ってきた。
こうした構図は幕張店だけにとどまらない。低価格でも高品質な商品を提供するアパレルブランドが林立し、イトーヨーカドーのようなGMS(総合スーパー)が扱ってきた衣料品などの魅力は相対的に低下。実際、2016年2月期からは、ライフスタイル部門の売上高は右肩下がりが続いている。新型コロナの感染拡大もあり、外出機会が減ったことも逆風となった。
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