「3年ぶりの行動制限のない夏」という枕詞で飾られた今年のお盆。高速道路4社は8月17日、お盆前後の10日から16日の1週間の高速道路の利用状況(速報版)を発表した。
これによれば、全国の主な区間(代表40区間)の1日当たりの平均交通量は、小型車・大型車合わせて4万2200台。コロナ前となる2019年の4万7500台と比べると89%、2021年の2万9500台との比較では143%となっており、コロナ以前の水準に戻ってきたことが読み取れる。
また、テレビやラジオの渋滞情報を聞く限りでは、かなり長い渋滞も報告されていた。2019年の最長渋滞距離は48.5km(8月12日下り中央道上野原IC付近)だったが、今年も最長で46.2km(8月11日 同じく下り中央道上野原IC付近)とほとんど変わらない渋滞が発生していたのだ。
ただし、10km以上の渋滞の発生回数は、2019年の476回に対して181回と、半分以下の38%にとどまっている。
「コロナからの回復率」は高速道路>航空>鉄道
航空や鉄道各社と比較すると、18日に発表されたJR6社の8月10~17日の利用者数は、コロナ禍前の2018年の6割程度、またJALとANAの国内線の利用者数は2019年比で75~85%程度というから、「コロナからの回復率」という視点で見ると、「高速道路>航空>鉄道」という順に回復しているといえそうだ。
2020~2021年に帰省やレジャーを我慢していた人たちの利用が戻ってきた一方、7月以降の感染急拡大で遠出を控えた人が少なくないこと、他人と接触する可能性が高い公共交通機関を避け、家族など限られた人だけで移動できるクルマを選んだ利用者が一定数いることなどが、こうした数字に反映されていると考えられる。
では、高速道路の交通量が9割近くまで回復しているのに、渋滞回数が半分以下になっているのは、なぜだろうか。
渋滞は、交通量が一定のラインを越えると一気に起きるため、交通量が1割少なくなるだけで、発生回数が半分以下になることを表しているといえる。これは、どうしたら渋滞を減らせるかを考える、大きなヒントになりそうだ。交通量を少し減らすだけで、渋滞を大きく緩和させられる可能性を示しているからだ。
筆者は、高速道路4社が集計した期間の直前にあたる8月8日(月)に、関越道と上信越道で東京~長野を往復したが、行き帰りとも渋滞にはまったく遭遇しなかった。少しピークを外すだけで渋滞を避けられたのも、まだ100%回復していない今年の特徴といってよさそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら