初任給が上がっても会社を辞めたい若者が多い訳 「上司が残業していても自分は帰る」は約半数
1990年代半ばから2010年代前半に生まれた「Z世代」は近年、社会人デビューを迎えている。その特徴の一端は、ソニー生命保険が今年3月に実施した調査結果からも見て取れる。
今春の新入社員と就職後1年を経た社会人2年生の20代男女を対象とした意識調査によれば、新入社員の25.0%は最初に就職する会社で「定年まで働きたい」と回答している。だが、「2~3年くらい」は19.8%に上り、「4~5年くらい」(16.4%)、「6~10年くらい」(14.6%)と続いている。入社前から早期退職をイメージしていることがわかる。
さらに社会人2年生となれば帰属意識は揺らぐ。「定年まで」は15.6%と新入社員と比べ10ポイント近く低下し、「すでに辞めたい」(21.4%)が最も高くなっている。
その理由に挙げられるのは、入社前に抱いていたイメージと1年間働いて感じた生活とのギャップだ。入社後に「がっかりしたこと」のトップは「給料が少なかった」(28.8%)で、「同期で集まる機会が少なかった」(25.6%)、「ボーナスが少なかった」(21.8%)と続く。想定した報酬面での不満が退職意向につながっていることがうかがえる。
初任給を引き上げる企業は多い
ただ、収入面で見れば、必ずしも「Z世代」が他の世代から劣っているわけではない。産労総合研究所の「2022年度決定初任給調査」によると、「初任給を引き上げた」企業は41.0%と前年度から10ポイント以上も増加し、「据え置いた」企業も55.4%に上る。大卒は21万0854円、高卒は17万3032円で、初任給の引き上げ理由としては「人材を確保するため」が63.2%と最多だった。
IT大手「サイバーエージェント」が2023年春の新卒入社の初任給を42万円に引き上げると発表し話題を呼んだが、初任給アップは人材獲得に力を入れる大企業を中心に進む。
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