「なおエ」の大谷翔平、7月トレード移籍の現実味 にわかにMLB「7月商戦」の渦中の人になったワケ

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大谷翔平は2021年に2年総額850万ドルの契約を結んでいる。大谷のFA年限は2023年だからあと1年ある。本来ならこのオフにエンゼルスと大型契約を結び直し、トラウト、レンドンとの揃い踏みで「黄金期」を迎えるはずだったのだ。

チームは昨年に就任した名将マドン監督の好采配で、今季序盤には西地区1位の座をアストロズと争っていたが、5月後半から6月にかけて球団史上ワーストの14連敗を記録、マドン監督は解任された。大連敗の主な原因は「救援投手陣の崩壊」だったが、このさなかにレンドンが今季絶望となり、チーム構想は水泡に帰したのだ。

トラウトとレンドンで合わせて100億円を超す年俸の支払いは2026年まで続く。ちなみに2人の年俸は今季MLBで2位と3位だ(1位はメッツの投手シャーザーの58.5億円)。それでもチームが好調で、売り上げ拡大の見込みが立つのなら、大谷と大型契約を結ぶことは可能だが、お先真っ暗の現状では、とても大谷を抱えておくことはできない。ということなのだ。

「なおエ」の大谷翔平

日本のメディアは連日、大谷翔平の投打の活躍を報じているが、エンゼルスは不振が続くため「大谷翔平は大活躍、なおエンゼルスは負けました」を省略した「なおエ」なる言葉が作られ、ファンはSNSで「また『なおエ』だった」と嘆くようになった。「なおエ」が続けば大谷はエンゼルスにいることはできなくなるのだ。

大谷翔平のビジネス的な価値は、日米ともに極めて大きい。

1995年に野茂英雄がドジャーズに移籍して活躍すると、試合を生中継していたBSNHKの加入者が急増。NHKのBS普及に大きな貢献をしたと言われている。投手の野茂の出場数は年30試合前後だが、2001年に外野手のイチローがマリナーズに移籍して大活躍をすると、出場数は5倍以上となり、野球ファンは連日、午前中からBS放送にかじりつくようになった。

イチローが出る試合では、ホームベースの後ろに日本企業の広告が表示されるようになった。日本の広告代理店がMLBから広告枠を買い付け、日本企業に販売したのだ。ただし、野茂英雄やイチローの注目度は「全米」と言うわけではなかった。あくまで野球ファン限定、そして「日本で特に人気が高かった」というレベルだった。

大谷翔平もエンゼルス移籍の時点で日本では大人気だったが、アメリカでは西海岸限定の「ローカルタレント」に近い印象だった。ニューヨークで「大谷についてどう思う」と聞かれて「誰だい?」と問い返されるインタビューもあった。

しかし2021年、打っては一時、ベーブ・ルースのシーズン60本塁打に迫ろうかと言う活躍をし、投げてもエースとして好成績を残すと、大谷翔平人気は全米級になった。長引くコロナ禍で全米に漂う暗雲を吹き飛ばす存在として絶賛されたのだ。オールスターのファン投票では191万票余を得てDH部門で初選出された。そしてアメリカン・リーグのMVPを獲得した。

球場で配られる大谷のボブルヘッド人形やTシャツなどには高値が付き、世界的なスポーツ誌「GQ」の9か国版の表紙を飾った。大谷はスーパースターの仲間入りをしたと言ってよい。

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