「無印良品」にセブンやZOZO元幹部が集まる事情 2月以降、外部から執行役員を新たに5人採用

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無印はほかの小売企業と同様、自社サイトを軸にECへ注力してきたが、サイトの利便性などが課題で成長が遅れていた。コロナ禍が始まった当初、巣ごもりで自社ECへの注文が殺到した際には、出荷作業が間に合わず配送の大幅な遅延が発生。物流インフラの面でも体制の脆弱さが露呈していた。

ZOZO時代の宮澤高浩氏。古着専門モールの子会社社長などを務めた(編集部撮影)

今年4月に行われた決算会見で堂前社長は「懸念はデジタルだが、(自社ECの)売り場としての整備も進み、これから売り上げが増えていくと思う。人材の体制も十分になりつつある」と言及している。

久保田氏と宮澤氏がZOZOで培ったノウハウも注入しながら、サイトの購買利便性を高めるための機能強化やシステム改修などを急ぐとみられる。

セブンプレミアムでの知見を食品に

セブン-イレブン・ジャパン出身の高橋氏は、食品部門を担当する。同氏は商品本部長として、国内最大のPB(プライベートブランド)である「セブンプレミアム」の開発などで陣頭指揮を執った経験も持つ人物だ。

セブン時代の高橋氏。商品本部長として、セブンプレミアムの商品開発などに携わった(編集部撮影)

良品計画の売り上げの約1割を占める食品は、顧客の来店頻度を高める効果も期待でき、同社が近年とくに力を注ぐ分野。実際、この3年で食品カテゴリの売り上げは2倍近くに跳ね上がっている。

堂前社長も「今まではレトルトカレーやバウムクーヘンが食品の中心になっていたが、これ以外で柱となる商品を増やしたい」と意気込んでいた。

セブンプレミアムと言えば、製造元の食品メーカーなどとの密な協業体制で知られ、価格よりも品質に重点を置いた商品戦略で他社のPBと一線を画す。その開発を率いた高橋氏の知見を取り入れることで、食品の売り上げ拡大へ弾みをつける狙いだろう。

足元の業績に目を向けると、堂前社長にとって就任1年目の今2022年8月期は、厳しい情勢を強いられている。売上高の4割近くを占める衣服では商品施策が外れたことで値引き処分が増え、利益率が悪化。中国事業も上海ロックダウンなどの打撃を受けた。4月には期初に出した通期の業績予想を下方修正し、前期比で増収減益となる見込みだ。

外部からの新しい風で社内に変化を起こせるか。人材交流の成果が本格的に現れてくる来期以降、堂前体制の真価が問われることになる。

良品計画・堂前宣夫社長のインタビュー(2021年11月配信)はこちら。
前編:無印は「社会運動」、異色の新社長が明かした真意
後編:無印が「店長育成」で大改革に踏み切る事情
山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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