中国の「巨大EC商戦」に参戦する日本勢の深刻問題 残るロックダウンの余波、大幅値引きの弊害も
国内最大級のEC(ネット通販)プラットフォーム「楽天」の年間流通総額を、たった18日間で超えるECイベントが中国で幕を開けた。
そのイベントの名は「618」。京東集団が同社の創立記念日を祝して2008年に始めたものだ。中国の大型EC商戦と言えば、日本では11月11日(独身の日)の「ダブルイレブン」が広く知られている。しかし流通総額では618も引けを取らない。
6月1~18日の開催期間における、2021年の京東の流通総額は3438億元(日本円で約6兆8800億円)。楽天の国内での年間EC流通総額5兆円を軽々と上回る規模だ。中国EC最大手のアリババも同イベントに参加しており、2021年の実績は公表していないが、2020年の流通総額は6982億元(約13兆9600億円)だった。同年のダブルイレブンの4982億元(約9兆9600億円)を大きく上回る。
今年はロックダウン直後に幕開け
中国では、大型商戦の成否がECの売り上げを大きく左右する。それだけに、現地進出している日系消費財メーカー各社は今年も有名KOL(中国版インフルエンサー)とのコラボやディスカウントプロモーションの強化に余念がない。
ただ2022年の618は例年と異なり、不安を伴う船出となっている。
イベントが幕を開けた6月1日、上海ではちょうど大規模ロックダウンが解除された。中国市場向けのマーケティング支援などを行うトレンドExpressの濱野智成社長は、ロックダウンの影響について「リベンジ消費が起きる可能性がある一方、物流インフラは本格回復していない。(流通総額は)微増となるものの、成長率は鈍化するだろう」とみる。
日系メーカーでも、物流倉庫や工場などを上海に持っている会社は、少なからず影響を受けているようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら