横浜ゴム、農機タイヤ「2700億円買収」の勝ち筋 CASEの波に抗うタイヤ産業の戦略とは?

拡大
縮小

変革期を迎える自動車業界の中で、タイヤメーカーも安泰ではない。ニッチな農機用タイヤを巨額買収した「横浜ゴム」の戦略に迫る。

横浜ゴムが強化する農機用のタイヤは需要が底堅く、利益率が高い。写真は子会社ATGの農機用(写真:横浜ゴム)

ロシア・ウクライナ戦争でグローバルリスクが高まる中、海外企業の巨額買収に踏み切ったタイヤメーカーがある。国内タイヤ3位の横浜ゴムだ。

横浜ゴムは3月25日、スウェーデンの農業機械・産業車両用タイヤメーカーのトレルボルグ・ホイール・システムズ(TWS)の買収契約を締結した。TWSの親会社のトレルボルグから全株式を取得する。企業価値は2652億円で、アドバイザリー費用や業績連動分を含めると買収金額は最大で2750億円に達する。横浜ゴムとしては、自己資本の約半分に相当する額で、過去最大の買収となる。

タイヤは、主に個人向けとなる乗用車用や2輪用の「消費財タイヤ」と、トラックやバス、農機や産業車両向けの「生産財タイヤ」に分類される。TWS買収の狙いについて、山石昌孝社長は次のように語る。

「世界のタイヤ市場規模は消費財と生産財が1対1だが、当社は消費財が2、生産財が1と偏っている。今回の買収で消費財と生産財の比率はほぼ1対1になる」

農機用では業界トップに

生産財タイヤの中で、トラック・バスを除く、農機用や産業用、鉱山用などの非自動車用は「オフハイウェイタイヤ(OHT)」と称される。横浜ゴムは、特にこのOHTを強化してきた。

次ページ農機用タイヤは利益率が10%以上
関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内