団塊ジュニアが直面する「親の75歳以降」4つの難題 2022~25年で団塊世代600万人超が後期高齢者に

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しかし、現在でも自治体によっては、なかなか介護認定をしてもらえないケースが多く、要介護状態になっても介護施設に入れないと言う現実が待っている。今後は団塊世代が一斉に年齢を重ね、厚生労働省が発表している生命表を見てもわかるように、急速に老いて要介護状態になっていく。

ただ、団塊世代の特性として子どもには頼りたくない、と考えている人の割合が比較的、これまでの世代より高い傾向がある。内閣府が2012年に実施した「団塊世代の意識に関する調査」でも、「あなた自身が介護を必要になった場合、主に誰に介護を頼むつもりですか。また、頼んでいますか?」の問いに対して、次のような回答になっている。

「子どもには頼りたくない」という傾向が強い

●配偶者……40.7%、
●施設や病院等の職員・看護師等……18.7%
●ホームヘルパーや訪問看護師等……15.5%
●とくにいない……10.5%
●子ども……9.4%

要介護状態になっても子どもには負担をかけまいとする人の割合は約9割に達するわけだ。もっとも、有料老人ホームなどは少なくても月額20万~30万円超の経費が必要になっており、問題は年金給付金を頼りに生きている団塊世代が、金銭的に維持していけるかどうかだ。

退職金などの預貯金があるにしても、介護保険が出ている状況でも、大きな経済的負担になりやすい。ちなみに、介護保険制度を継続的に維持していくことを目指して、以前から年金受給者の介護保険料は年金給付金から直接天引きされる仕組みに変わっている。あらかじめ予定していた老後の資金計画に狂いが生じている人は少なくないはずだ。

いずれにしても、団塊世代が公的介護システムを頼りにできない状況になれば、その家族である子どもの世代=団塊ジュニアに頼るしかなくなる。

ちなみに介護保険というのは、65歳以上の「第1号被保険者」と45歳から64歳までの「第2号被保険者」で構成されており、要介護状態や要支援状態になれば保険金が給付されてさまざまなケアを受けられる仕組みだ。

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