学生に「何を学んだのか?」を聞かない企業の失態 なぜサークルやバイトのことばかり聞くのか?
冊子の形で配られることもありますが、近年では、大学のホームページや学生用のマイページで閲覧できるようになっているところもあります。この「シラバス」を明確化することで教育課程を体系化し、きめ細かな指導を行うことで単位制度を実質的なものとし、さらに成績評価も厳格に行うことで、学生が本気で学び、社会で通用する力を身につけるようにしようという試みが「シラバス厳格化」です。
これまで日本の大学は「入難出易」(入学するのは難しいが、卒業するのは容易という意味)と言われてきましたが、そのために大学教育が人材の育成につながっていないと批判されてきたことを改善しようということで、大いに趣旨には賛同できることです。
「シラバス厳格化」は、言い換えれば「ちゃんと授業に出て、こういうことを学ばないと単位は出ません」となったということでもあります。それを受けて、実際に授業に出席している学生の人数はどんどん増えており、2020年卒の学生において自分が登録している授業の8割以上に出席している割合は84.7%になっています。
また国立教育政策研究所の調査によれば、学生は授業や研究、予習・復習などに1週間で約27時間を使っています。平日平均で約5時間です。
今の大学生は勉強するのが当たり前
一方、アルバイトは週10時間未満、クラブ・サークルは約4時間と、やはり学業が主になっている実態がわかります。大昔の学生にとっては、授業とは「出ても出なくてもよいもの」であったのが、現在の学生にとってはもうすでに「出なくてはならないもの」となっており、学業への注力は半ば選択の余地はなくなっているのです。そうであれば必然的に、授業に出ていることの価値も、そこで成績を出すことの意味も変わってきます。
「出なくてもよい」という選択肢があるのであれば、授業に出ている人は「勉強が好きな人」と考えることができるわけですが、授業に出なくてはいけないのであれば、そうはなりません。学生が「授業には毎日出ています」と言うと「まじめな人なんだなあ」と思う企業の採用担当者はいまだに多いのですが、その解釈は間違っています。授業に出るということは、学生にとっては強制力のある「義務」であり、今ではもう「ふつう」のことなのです。
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