インテリジェンスから見た、がん秘密兵器説 甘利大臣はTPP交渉中、なぜ舞台を去ったのか(下) 

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シンガポールで行われたた環太平洋経済連携協定(TPP)閣僚会合に出席した米国のフロマン通商代表は、甘利TPP担当相が病気治療のため欠席したことについて「心よりお見舞い申し上げる。早期に完全復帰してほしい」と述べたのだという。

同代表は、ルール作りで対立する米国と、新興国の橋渡し役だった同大臣の不在が交渉の遅れにつながらないかと記者団から聞かれたのに対し、「米国の心配は甘利大臣の健康問題で、早い回復を期待するだけだ」と強調し、影響を否定したのだという。

一方、我が国がコメなど重要5項目の関税維持を求めている市場アクセスに関しては、言及を避けたとも言われている。

6日に上梓した小著最新刊『ジャパン・ラッシュ――「デフレ縮小化」で日本が世界の中心となる』で詳しく書いたとおり、「アベノミクス」そして「異次元緩和」を経て我が国が来年(2014年)に迎えるのは歴史的な資産バブル(「日本バブル」)だ。巨大な債務問題という時限爆弾を抱える米国が、ゴールド・ラッシュならぬ「ジャパン・ラッシュ」に沸くことになる我が国に目を付けないはずもないのである。

そしてこの時、彼ら米国人たち、そしてそれに負けじと押し寄せる欧州人たちは必死なのである。何せ自らの「母国」はデフレ縮小化の渦に巻き込まれてしまうのは明らかなのであって、最後の望みが我が国なのであるから。その様な中、「もはや手段は選べない」と考えるのも当然なのだ。

甘利TPP担当大臣の舌がん罹患を巡る「真相」は究極のところ、本人と診察した医療関係者以外はうかがい知れない。だが、少なくとも過去の“前科”がとりざたされる米国を、我が国の交渉団は相手にしているのである。そしてこうした“前科”は抑止力となり、我が国の物言いを交渉現場で封じることは十分にあり得るのである。

「食うか、食われるか」

明らかに始まった日本バブルの中、世界史の“最終決戦”の火ぶたが切って落とされている。

*原田武夫が登壇する「2014年 年頭記念講演会」:2014年1月に東京・大阪で開催いたします。

原田 武夫 原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役

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はらだ たけお / Takeo Harada

原田武夫(はらだ・たけお)株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役(CEO)。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務公務員Ⅰ種職員として入省。12年間奉職し、アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に自主退職。情報リテラシ―教育を多方面に向けて展開。自ら調査・分析レポートを執筆すると共に、国内大手企業などに対するグローバル人財研修事業を全国で展開。学生を対象に次世代人材の育成を目的とする「グローバル人財プレップ・スクール」を無償で開講。近著に『「日本バブル」の正体~なぜ世界のマネーは日本に向かうのか』(東洋経済新報社)、『インテリジェンスのプロが書く日本経済復活のシナリオ ――「金融立国」という選択肢』(中経出版)。9月に『それでも「日本バブル」は終わらない』(徳間書店)が刊行。12月6日に『ジャパン・ラッシュ――『デフレ縮小化』の中で日本が世界の中心となる』(小社刊)が刊行。 原田氏の話を直接お聞きになりたい方はこちらへ→2014年 年頭記念講演会、東京:1月18日、大阪1月26日

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