国際決済銀行(BIS)が正しいとすれば、ビットコインのような仮想通貨に投資する350万人の日本人は、とんだまがいものに手を出していることになる。2017年末には、世界のビットコイン取引の推定4割が日本の投資家によるものだった。多くは30〜40代男性。借金して資金を突っ込んでいる者も多く、日本銀行の調査によれば、その金融知識はお粗末なものだという。
このような投資家は、仮想通貨の価格は上がる一方だと信じている。将来的には既存通貨に代わって広く利用されるようになるから、というのが背後にある理屈だ。日本政府は2017年に仮想通貨を決済手段として合法化し、こうした幻想にお墨付きを与えてしまった。
通貨として機能するための安定性に欠けている
金融とITが融合する「フィンテック」に乗じて、国際金融センターとしての東京の地位向上を狙ったのかもしれない。だとしたら、仮想通貨のような怪しげなブームに乗るべきではなかった。
BISは、仮想通貨は本物の通貨にはなりえないと指摘する。そもそも、通貨が通貨として機能するには価値が安定していなければならない。採寸時と縫製時で寸法が変わる奇妙なメジャーを使っているテーラーにスーツを注文するような人間がいるだろうか。
ビットコインではこのようなことが当たり前だ。たとえば、仮想通貨専門のニュースサイト「CCN」によれば、イタンジという日本の不動産ベンチャーが今年1月、東京の物件を547ビットコインで売りに出した。この日、547ビットコインは日本円で6.7億円だった。しかし、わずか12日後には4.5億円まで目減りした。
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