「就活のゴールは内定ではない」。これから就職活動を控え、必死に内定を目指す学生に、こんな言葉は不可解だろう。しかし、就活生の誰もがうらやむ企業に入社しながら、すぐに辞めてしまう先輩が少なくないのも現実だ。彼ら彼女らは、就活で内定取得には成功したものの、続けたいと思う職の選択はできなかったと言える。
今回は、人気企業に入社したのち、3年以内に辞めてしまった先輩2人の体験談をもとに、なぜそのような事態が起こるのかをひもといていく。
毎日同じことの繰り返しだった――。
朝6時20分に起床し、7時15分に自宅を出る。8時30分に会社に着くと、パソコンを立ち上げて9時の始業を待つ。経理書類の不備をチェックし、取引のある販売代理店から問い合わせがあれば、電話で回答する。
同じことの繰り返し、人間関係に辟易
日々の楽しみは、定時の17時半に仕事を終えて向かう、スポーツジムでのヨガ教室だ。ストレスを発散し、21時に帰宅して夕食を済ませると、23時には就寝している。そして、翌朝6時20分に目覚まし時計が鳴れば、またいつもと同じ1日がやってくる……。
小林明日香さん(30歳、仮名)は、立教大学を卒業後、金融大手のA社に新卒で入社し、地域限定職として働いていた。テレビCMも流れる有名な企業で、就活する学生にも人気がある。小林さんも強く希望して入ったが、わずか1年10カ月勤めて退職した。「選んだのは自分ですが、事務作業は合ってませんでした」(小林さん)。