新卒大学生の3人に1人が「3年以内」に離職している──。
毎年秋になると、厚生労働省による「新規学卒者の離職状況」の調査結果が発表されて、そうした見出しのニュースをよく見かける。3年で3割というものの、詳細を見ると、1年で1割以上もの新卒者が退職していることがわかる。
実はこれは、最近の話ではない。平成になってからの推移を見ると、その傾向は1990年代後半以降ずっと続いており、「新卒の3人に1人が3年以内に会社を辞める」という事実は、もはやニュースではなく、恒常的な現象なのではないかと思えてくる。
新卒の3割が3年で辞める現実
だからといって、これは放置しておいていい問題ではない。事態は深刻だ。
というのも、新卒入社した会社を短い在職日数で退職した人たちは、2度目の就職活動をする際、新卒のときとは比べようもない、不利な状況にさらされるからだ。
どれだけ高学歴で優秀な人でも、採用担当者からは、すぐに会社を辞めてしまった”半人前の元社員”というレッテルを貼られ、敬遠される。希望する条件の会社に再就職できないばかりか、条件を大幅に下げても、採用してくれる会社は見つかりにくくなるという。
そもそも、新卒入社した大学生の離職率の高さが改善されない原因は、学生と企業のミスマッチにある。会社説明会で人事担当者が話す内容は、美辞麗句に満ちたものばかりで、「実際の仕事の厳しさ」や「一人前の社会人になるためのハードル」といったことは、あまり語られない。
一方で大学生のほうにも、「入社後のキャリアプラン」や「自分に向いている仕事は何か?」といった大事な視点を持つことなく、会社の知名度や給料の高さなどのスペックだけで、安易に就職先を決めてしまうことに問題がある。入社後に「こんなはずではなかった」と感じるのは、新卒入社した大学生本人だけでなく、甘い考えで会社選びをした大学生を受け入れた会社の上司や人事担当者も、同様なのではないか。
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