今年も新卒市場は売り手市場と言われている。企業が求める人数よりも学生数が少ないので、売り手の学生が優位に立ち、買い手の企業は劣勢というわけだ。この市場動向を測るモノサシのひとつが「大卒求人倍率調査」で、求人総数を就職を希望する就活生数で割って算出する。
リクルートワークス研究所が例年4月に発表しており、2018年卒の倍率は1.78だった。5年前の2013年卒の倍率は1.27。就職を希望する学生数はあまり変化がないので、この5年間で日本企業の求人意欲が急上昇していることがわかる。来年も今年と同様、売り手市場は続くだろう。企業は学生に選んでもらうための工夫が必要だ。
学生は「社員の印象」で企業を選んでいる
では学生が企業を志望する動機は何だろうか? 人事が「動機」として想像している内容は、採用ホームページに盛り込まれている。ざっと上げてみると、仕事内容、事業内容、勤務地、給与・福利厚生、残業時間、会社の特徴・特色、会社の雰囲気、会社の知名度、経営方針、教育制度、離職率、働きやすさ、採用人数、業績などがある。
だが、人事が懸命に発信している情報を、学生がきちんと理解しているかというと、疑問だ。財務データをきちんと読んで理解している学生はまれだし、残業時間や離職率などの”ブラック指標”はあまり信用されていない。多くの学生はイメージ先行で企業を見ているのだ。
そしてその決め手となっているのが「社員の印象」だ。HR総研が過去に行った調査では、「入社志望度に社員の印象が影響する」のは文系8割強、理系8割弱だった。
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