これまで不況になると、公務員人気が高まることが多かった。企業の採用が減ると、安定している公務員を目指す学生が増えるからだ。ところがここ2年、文系学部の学生の就職が好調にもかかわらず、公務員人気は根強いままだ。
「地元志向」が公務員人気の一因に
その大きな理由は「地元志向」。受験生が地元大学へ進学し、地元企業へ就職する傾向が強くなっている。ある地方の進学校の進路指導教諭は「地元の国立大か、もっとも近い旧帝大に進学し、地元の市役所や県庁に就職するのが一番のエリートコースと考える生徒は少なくありません」と語る。
最近の受験生は地元大学への進学を望み、大都市圏の大学には進学しない傾向が顕著になってきている。大きな理由のひとつが経済的な問題だ。都会に下宿して大学に通うのにかかる費用を、保護者が負担できなくなっているのである。地元の大学への進学なら、ほぼ学費の負担だけで済む。
この地元志向は、就職でも同じことが起きている。ただ地元での就職となると、大都市とは異なり、地方では学生の就職先となる企業が少ないところもあるのが実情だ。地方大学のキャリアセンターの職員は「地元企業への就職を望む学生がほとんどですが、地元にそんなに受け皿がなく、厳しいのが実情です。今は大学選びで就職がいいことが大きなプラスになるため、大学としては就職率を上げていくほかなく、東京など大都市にある企業への就職を勧めています」と話す。
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