企業の旺盛な採用意欲に支えられ、来春大学や大学院を卒業する2017年卒業生の就活状況も好調だ。しかし大学生の売り手市場がいくら続こうと、日本の企業の1%に満たない大企業へのハードルは高く、一般的な大学から多くの就職者を出すことは難しい。そうした状況は、2016年卒業生を対象にした「有名企業400社の実就職率ランキング」からも明らかだ。ランキング上位の大半は難関大で占められ、その顔ぶれは毎年ほとんど変わっていない。
企業側は難関大に積極的なアプローチ
「有名企業400社」は、日経225の採用銘柄をはじめ、会社規模や知名度、人気企業ランキングなどを参考に選定している。そうした企業への実就職率(就職者数÷<卒業生数-大学院進学者数>×100)が高い大学順にランキングにした。対象は大学通信が実施したアンケートへの回答大学568校(9月7日時点)のうち卒業生数が100人以上の大学となっている。
ランキングの1位は、昨年と同じ一橋大学で、2016年は前年を4.7ポイント上回る62.6%になった。商社や金融に強く、卒業生978人の内、5大商社(伊藤忠商事、住友商事、丸紅、三井物産、三菱商事)が54人で、3大メガバンク(みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行)に67人が就職している。両業種8社合計の就職者は、卒業生全体の約12%を占める。同大学のOBは「入学時から大手志向の強い学生が多い上、有名企業が一橋大生対象のセミナーを開くなど、関係性が強いことも要因」と話す。
伝統的に有名企業に強く、卒業生がリクルーターとして後輩を積極的に採用しようとする動きも顕著だ。企業の方から学生を迎え入れたいという姿勢が、有名企業への就職率が高い一因といえるだろう。
こうした動きは他の難関大でも見られる。近年は学生側にとって売り手市場の状況が続いており、有名企業でも、待ちの姿勢では本当に優秀な学生が集まらない。そのため企業側から積極的にアプローチをするケースが増えているようだ。「優秀な学生を確保するため、大学を指定したセミナーを、難関大を中心に開催する企業が増えている」(就活コンサルタント)。
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