
長田 順三 氏
ソフトブレーン
取締役 本社営業本部長
兼 営業企画・支援部長
忙しい営業マンや営業マネージャーにとって、「時間の使い方」は仕事の能力を測る要素の一つである。時間の使い方とは、すなわち無駄な時間をいかに作らないかということだ。しかし営業力に課題を抱える企業の営業マンや営業マネージャーは、得てして無駄な時間が多い。
まずは、以下のような場面に心あたりがないかチェックしてみてほしい。
- □ お客様との日程調整が難しく、アポイントがなかなか取れない。
- □ 商談に必要な資料の作成に時間がかかり、1日1~2件しか回れない。
- □ 商談中は内容をメモするだけ。質問に即答できない。
- □ 商談に必要な資料を持ち合わせておらず、困ったことがある。
- □ お客様から頂戴した宿題を回答するのに何日もかかってしまう。
- □ 日報や報告書を作成するためだけに会社に戻ってくる。
- □ 提案書・見積書は、会社に戻らなければ作成できない。
- □ 上長の外出・出張が多く、見積書の承認がなかなか得られない。
- □ お客様を待たせるので、競合他社とのコンペにたびたび負ける。
- □ 会議やミーティングに毎日何時間も費やし、残業が減らない。
さて、あなたはいくつの項目に該当しただろうか。
これらは、どれも無駄な時間による非効率な行動を表している。なかにはすべての項目に当てはまるという非効率極まりない企業もあるかもしれないが、どれか一つの項目が当てはまっただけでも無駄な時間を過ごしていることになる。無駄な時間を野放しにして非効率な営業活動を行っていては、間違いなく営業部門はダメになる。

無駄な時間を減らすのに最も効果的なのが、外出先や移動中の時間を上手に活用することだ。もちろん、そんなことは誰でもわかっている。だから最近は、多くの企業が営業マンに持たせる携帯端末を、通話中心のフィーチャーフォン(いわゆる“ガラケー”)から多機能なスマートフォンに切り替え始めている。
調査会社 MM総研が2015年1月に発表した「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査(2014年度版)」によると、携帯端末を従業員に配布している企業のうち、31.4%がスマートフォンを「導入済み」であり、「準備中」と「検討中」を合わせた導入予備軍が12.0%。近い将来には半数近い企業がスマートフォンを導入する見通しだ。
スマートフォンの普及に伴って“モバイル対応”をうたう営業支援ツールが導入されることも増えている。ところが、スマートフォンとモバイルツールを導入したにもかかわらず、営業の業務効率化には必ずしもつながっていないとソフトブレーンの長田順三氏は指摘する。
「企業がフィーチャーフォンからスマートフォンへ切り替えるのは、電話だけでなく、もっと機動的に携帯端末を活用して業務効率を上げることが目的です。しかし実際には、宝の持ち腐れとなっているのが実情です。せっかくスマートフォンを導入したのに、使っているのはメールの送受信とスケジュールの確認程度で、気づいてみると当初描いていた営業の業務効率化がほとんど実現できていません」
スマートフォンが業務効率化につながらないのは、導入方法に問題があるからだと長田氏は言う。
「スマートフォンは情報システム部門が主導して導入されることが一般的です。情報システム部門ではスマートフォンを集中管理するツール、セキュリティを担保する仕組み、インフラ作りを行いますが、これらはあくまでも“守り”の施策でしかありません。スマートフォンを使ってどのように営業活動を効率化するかという“攻め”の施策が思い浮かばず、先に進めないのです。とはいえスマートフォンを活用する営業部門はITに詳しくないため、どうしても情報システム部門が導入を担当しなければなりません。“守り”はできても、“攻め”ができないというジレンマに陥っているわけです」
このジレンマを解決するには情報システム部門と営業部門が協力し、“攻め”の施策を理解したうえでスマートフォンやモバイルツールを導入する必要がある。まずは何が無駄なのかを明確にするところから開始するべきと長田氏は説く。前述のチェックリストは、そんな無駄な時間を知るためのヒントでもある。
「無駄な時間を“無駄”と明確に認識しなければ、決して業務を効率化することはできません。そしてスマートフォンやモバイルツールを営業の“攻め”に活用できれば、残業を3割減らして売上を3割増やすことも可能なのです」
「営業を強くするモバイル活用」のために
企業が知っておくべきポイント
- 無駄な時間を減らすのに最も効果的なのは、
外出先や移動中の時間を活用すること。 - スマートフォンとモバイルツールを使ってどのように
営業を効率化するかという“攻め”の施策が重要。 - 失敗しないモバイルツールはどのように選べばよいのか。
その答えはこれだ!