我が国の医療制度は諸外国と比較すると高い医療水準を構築できていますが、高齢化の進行や医療需要の増大、さらに、生産年齢人口の減少による医療従事者及び財源の双方の支え手不足に対する懸念が高まっています。
この状況を所与としながら国民の健康寿命の延伸を図るためには、さらなる持続可能な医療制度の構築が必要です。この持続可能な制度を構築するためには、「より良い医療の提供」「技術とシステムのイノベーション」「デジタル化」「医療の効率化」の4点をバランスよく考慮することが必要であり、国民的な議論を行い、必要な改革を速やかに実行するべきと考えます。
健康日本21の第三次の検討が始まるにあたり、この4点をバランスよく考慮しながら、特定健診・保健指導のような保健事業も含めた、保健医療システム全体の持続可能性を再考することが、ウィズコロナの現在、公衆衛生における課題に対応するためにも重要です。また、コロナ禍における昨今の個人の健康意識の大いなる高まりに伴い、保健医療の重要性も広く認識されつつあると考えます。
つきましては、肥満と生活習慣病を具体的な事例として挙げながら、国民の健康を守るための保健医療の展望について有識者の見解を伺います。
新型コロナ感染症による公衆衛生危機において、保健医療における様々な課題が示唆されています。公衆衛生における課題への備えとして、生活習慣病対策に着目すべき必然性について紹介していただくほか、生活習慣病対策の変遷と課題、そして生活習慣病対策としての、アウトカムベースの支払い方式の可能性について考察いただきます。
生活習慣病対策の中において対策が見過ごされがちな肥満。肥満と肥満症の違いは何か、それぞれの定義と現状、そして肥満症治療の重要性についてお話いただきます。また、肥満症治療が保健医療の持続可能性にどのように貢献し得るかについて考察いただきます。
特定健診や保健指導のさらなる活用による肥満や肥満症への対策、そしてその社会的意義について考察いただくほか、最新の政策提言レポートから見る、さらなる保健医療の効率化の展望についてお話しいただきます。
各講演者の方々が日本における生活習慣病・肥満の事例をもとに、保健医療の推進をテーマに、講演だけでは伝えきれなかった内容を掘り下げながらディスカッションいたします。
当日zoomチャットに投稿いただいたご質問についてパネリストから回答します。
国際医療福祉大学 副学長
初代 厚生労働省 医務技監
鈴木 康裕 氏
1959年生まれ。1984年に慶應義塾大学医学部を卒業し、厚生省(当時)入省。1996年には同大学にて博士号を取得、その後、1989年と1990年にハーバード大学公衆衛生大学院にて、それぞれ公衆衛生学修士号と科学修士号を取得。臨床研修は神経内科において行い、1998年 より2002年まで世界保健機関(WHO)に派遣され、事務局長補(局長級)としてソーシャルチェンジと精神保健、その後、保健医療技術と製薬の分野に従事。その後、厚生労働省にて医政局研究開発振興課長(2005年)、老健局老人保健課長(2006年)、新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長(2009年)、保険局医療課長(2010年)、技術総括審議官(2014年)、保険局長(2016年)等を歴任。その他、2012年から2014年までは防衛省衛生監を務めている。 2017年より厚生労働省医務技監を務めたのち、2020年に退官。現在は国際医療福祉大学で副学長を務める。
国家公務員共済組合連合会
虎の門病院 院長
門脇 孝 氏
1978年に東京大学医学部医学科を卒業し、東京大学医学部附属病院内科研修医を務める。米国国立衛生研究所にて留学後、東京大学医学部講師、東京大学大学院医学系研究科代謝・栄養病態学(糖尿病・代謝内科)助教授、教授、東京大学総長特任補佐等を経て、2011年に東京大学医学部附属病院院長に就任。2018年に東京大学名誉教授の称号を授与される。2020年より現職。日本内分泌学会理事、日本内科学会理事長、日本糖尿病学会理事長、日本肥満学会理事長等を歴任。日本学術会議連携会員、日本医学会・日本医学会連合副会長、日本肥満学会理事長などを務める。日本における糖尿病研究、メタボリック症候群、肥満症の専門医として知られ、多くの賞を受賞している。
株式会社日本総合研究所
リサーチ・コンサルティング部門
ヘルスケア・事業創造グループ シニアマネジャー
田川 絢子 氏
早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻 博士課程前期課程修了(工学修士)。
修了後、株式会社日本総合研究所に入社。
入社後、一貫して医療・ヘルスケア領域に関するコンサルティングに従事。
医薬品企業・医療機器企業等のマーケティング戦略策定支援、新規事業(ヘルスケア領域)戦略策定支援等を担当。また、近年は官公庁の健康経営に関する市場調査、女性の健康増進に関する調査、ヘルスケア産業市場調査、生涯現役社会実現に向けた基盤整備等の調査・事業も担当。
公益財団法人結核予防会
総合健診推進センター 所長
宮崎 滋 氏
1971年東京医科歯科大学医学部卒業。糖尿病、肥満症、メタボリックシンドロームの診療に従事。東京逓信病院外来統括部長・内科部長・副院長を経て、2012年より新山手病院・生活習慣病センター長、2015年より公益財団法人結核予防会理事・総合検診推進センター長に就任。日本肥満学会副理事長、肥満症診療ガイドライン作成委員長、東京医科歯科大学医学部臨床教授、日本医学会評議員などを歴任。
日本内科学会、日本肥満学会(名誉会員)、日本糖尿病学会(功労評議員)、日本病態栄養学会(評議員)、日本生活習慣病予防協会(理事長)、日本肥満症予防協会(副理事長)などに所属。
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