きっと一度は、丸い気泡の突起を夢中でプチプチしたことがあるだろう。
「プチプチ」は、くうきシートで約5割のシェアを持つ川上産業の登録商標だ。
リサイクル体制を構築して、環境にやさしい梱包材への進化をリードしている。

制作・東洋経済企画広告制作チーム

シェア約5割の理由は
地域分散拠点の迅速対応と多彩な商品ラインナップ

東京営業所
課長
小森 智

江戸時代に外来種として日本に渡ってきたクローバー(白詰草)は、オランダから輸入されたガラス器を梱包する箱に詰め込まれていた緩衝材だった。現代の代表的緩衝材、くうきシートは1960年代に米国で使われ始めたとされ、その将来性を予見した、川上産業の先代社長、(故)川上聰氏が日本でも販売を始めた。
川上産業では、軽量だがかさばるプチプチの輸送コストを削減し、納期を短縮するため、全国に拠点を分散。現在、全国7工場、11営業所に広がる生産・配送網が、プチプチの高評価を支えている。また、金属のさびを防ぐ機能を加えた「防錆プチ」、精密機器向けに静電気防止加工した「静防プチ」など、多様な付加価値を加えた商品を展開。東京営業所課長の小森智氏は「お客様のニーズを酌んだ地道な取り組みが、シェア約5割の基礎にあります」と胸を張る。

リサイクル原料を使って
エコと安価を両立したエコハーモニーを発売

昔のクローバーが日本の植生を少し変えたように、現代のプチプチもまた、環境に貢献できるはずだ。川上産業では、「環境意識の高まりという新しいニーズを受け、再生原料を使って新しいプチプチを開発しよう」という川上肇社長の指示の下、プロジェクトがスタートした。

ポリエチレン有色再生原料を使ったエコハーモニーシリーズ。透明なクリアと半透明なミルキー(写真上)

白の有色原料で作ったエコハーモニーのホワイトは、静電気防止機能が付加されている(写真下)

しかし、原料探しは難航した。プチプチの原材料はポリエチレン。従来の無色透明のポリエチレンの再生原料が欠かせないが、まとまった量を調達するのは困難だった。再生原料メーカーを回るうち、「有色再生原料なら」という話を聞いた。有色のポリエチレン再生原料は、国内のさまざまな加工メーカーの製造工程で出てくる不良品や端材などをリサイクルしたものだ。従来は黒色の家庭用ゴミ袋の原料として使われていたが、多くの自治体が中身の見えない黒色ゴミ袋を禁止するようになったため、行き場を失っていた。川上産業では、この有色再生原料をほぼ100%有効活用した「エコハーモニー」を2008年に発売。再生原料未使用の従来型のプチプチに比べ、CO2排出量を約3分の1削減することに成功した。
色は、青と緑の間のあさぎ色で、透明ベースのクリアタイプと、白色ベースのミルキー(乳白)タイプの2種類。その時々に入手できる原料によって、青から緑の間で色調は微妙に変動し、製品のバラつきにもつながる。だが、実際は「そうしたバラつきそのものも広くお客様に受け入れられました」と小森氏。不透明なミルキータイプのプチプチは、中身が見えないように梱包したいという顧客の新たなニーズを開拓した。
加えて、従来のプチプチに比べて、利用しやすい価格を実現。経済性と両立できる環境貢献は、顧客からも高い支持を集めている。
エコハーモニーシリーズは、要求される強度によって、一般梱包用のライト、重い機械の梱包や引っ越し時の壁や床の保護に使う、丈夫なストロングがある。さらに、11年にはホワイトを発売。白の有色原料で作ったプチプチに静電気防止機能を付加して、商品ラインナップの幅を広げている。小森氏は「エコハーモニーをさらに普及させ、プチプチ市場全体をリサイクルの方向にリードすることで環境貢献を果たしていきたい」と意気込む。

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