日本マイクロソフト

ADAD2022.04.15

Hybrid Work with Microsoft

「オールDNP」の「挑戦するDNA」をつなぐ Teamsがプラットフォームになった舞台裏

大日本印刷(以下、DNP)は、出版印刷業から始まり時代とともに変革を続けてきた。人と社会をつなぎ、新しい価値を提供するために「挑戦するDNA」が中核にある。「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントを掲げ、より良い未来のために最先端のテクノロジーを活用し、持続可能なより良い社会、より良い暮らしの実現に向け尽力している。DNPは「対話と協働」を社員の行動指針として大切にしてきた。変化が激しい時代のなかで社員一人ひとりが自律的に動き、それぞれの強みを掛け合わせて相乗効果を高める働き方を「オールDNP」と呼び、社員の総合力を源とした変革を推進している。約3万7000人(連結)の社員の強みをITでつなぐ推進組織を取材した。制作:東洋経済ブランドスタジオ

「オールDNP」の総合力を最大限発揮できる基盤としてMicrosoft 365を導入

印刷といえば紙のイメージが根強い。しかしDNPはそこにとどまることなく、早くから印刷技術の応用・発展によって事業領域を拡大してきた。

「ずっと受け継がれてきた『変革に挑戦する』というDNAが、そうさせてきたのだと考えています。DNPは、常にイノベーションを起こすことに努め、社会課題解決につながる新たなビジネスモデルを構築し続けてきました。」

金沢 貴人 氏

大日本印刷株式会社
執行役員金沢 貴人

DNPの執行役員、金沢貴人氏のこの言葉を裏付ける製品のひとつが、世界トップシェアを誇るリチウムイオン電池用バッテリーパウチだろう。次世代モビリティを牽引する電気自動車(EV)に欠かせない製品だが、DNPは1990年代初めに技術開発へ着手した当初からEVでの使用を視野に入れていたという。薄いフィルム基材に多様な機能を付与するコーティングやラミネート加工などの技術を掛け合わせて、新たな価値を生み出しているのも特長だ。

このほかにも、DNPは独自の「印刷と情報(P&I、Printing & Information)」の強みを生かしたビジネスを多数展開。2025年3月期までの中期経営計画では、情報銀行などの「データ流通」や「IoT・次世代通信」「モビリティ」「環境」の4つを注力事業と位置づけている。これまでの受注型の事業にとどまらず、提案型のビジネスモデルへの転換を果たしつつあるのだ。

「提案型の組織に求められるのは、自律的かつ能動的であることです。そうした動きを促し、グループ内のあらゆる強みを掛け合わせる『オールDNP』の総合力を常に最大限発揮できるようにするには、情報システム基盤の見直しが必要だと考えました。」

そう思い至った理由のひとつには、社会インフラを担う事業がDNPに多いこともあると金沢氏。確かに、前述のバッテリーパウチの供給が止まれば世界中に影響を与える。ICカードやPETボトルの無菌充填システムも国内トップシェアだ。

「社会に大きな責任を担っている企業として、必要な時にいつでも社内外すべてのステークホルダーとタイムリーかつスムーズなコミュニケーションが取れる環境が必要だという切実な思いがありました。そこで、信頼できるプラットフォームとして、2019年10月にMicrosoft 365の導入を決めました。」

自由なコラボレーションを生んだTeams

宮本 和幸 氏

大日本印刷株式会社
情報システム本部 本部長宮本 和幸

Microsoft 365の導入は、想像以上の効果を生んだ。とりわけMicrosoft Teams(以下、Teams)は、「物理的な制約を一気に取り払った」ため、多くのポジティブな変化がグループ内に発生したと指摘するのは、情報システム本部 本部長の宮本和幸氏だ。

「“Teams以前”は、部署横断型の連携会議をしようとしても、会議室の定員に合わせてメンバーを選出する必要があり、各部署から参加できるのは1人か2人といった限られた人数でした。しかし、Teamsなら人数を制限する必要はありませんので、自発的な参加がどんどん増えていきました。AIや5Gなど新しい分野を議題とする会議に、興味を持ったエンジニアや営業が集まって、100名以上が参加していることも珍しくありません。」

国内外に多数の拠点を展開するからこそ、際立つコラボレーション効果。誰が指示したわけでもないのに、自発的に集まったメンバーたちがTeams上でファイルの共同編集を行い、以前よりも効率的に作業が行われている。前出の金沢氏も、次のように語る。

「社歴やポジション、部署などの垣根が明らかに低くなり、別の組織の社員と気軽に話していいという雰囲気も生まれてきました。私は、毎月1回若手から報告を受ける機会を設けていますが、以前よりも気負わず色々と話してくれるようになったように感じます。テキストでのコミュニケーションも、メールからチャットに移行して、『スピード重視のカジュアルなやりとりをしても問題ない』といった安心感が広がっているのではないかと思います。」

もちろん、全てが自然発生的に起こったわけではなく、舞台裏ではIT部門の尽力があったことは言うまでもない。安全にテレワークができる社用のパソコンやスマートフォンを配布し、全国各地でTeamsの活用セミナーを実施。「便利な環境」を提供すると同時に、「正しい知識」と、自由に意見を出してもいいという「心理的安全性」を提供していったことが、組織風土変革のムーブメントとなっていったのだ。

ひとりの従業員の声から実現した画期的な新製品

小縄 彬 氏

株式会社DNP情報システム
サービスデスク第1部 部長小縄 彬

組織風土変革の効果は、新製品の開発にもつながっている。とりわけ、2020年10月に販売開始され、首相や東京都知事の記者会見で手話通訳者が着用していることでも注目された「超低反射フェイスシールド」の開発ストーリーは印象的だ。

「聴覚に障がいのある社員から、『コロナ禍ではマスクで口元が見えなくなり、コミュニケーションが取りにくい』という投稿が、社内SNSのMicrosoft Yammer(以下、Yammer)に寄せられました。『DNPの技術を使えばこの課題が解決できるのでは』といった投稿が次々と全国から集まり、活発なやり取りが始まりました。“コミュニケーションを阻害しないマスク”を作るにはどうすればよいか議論を重ね、最終的に光が反射しないフェイスシールドの開発につながりました。」

社内SNSの投稿から生まれ「オールDNP」で開発した「超低反射フェイスシールド」 | Discover DNP | DNP 大日本印刷

そう明かすのは、DNP情報システム サービスデスク第1部 部長の小縄彬氏。Yammerでつながった全国の社員が自発的に対話を重ね、研究開発部門、製造部門、マーケティング部門を巻き込み、開発プロジェクトが発足。そのままTeamsに場を移してスピーディに開発が進められ、わずか半年で製品を社会に届けた。

「プロジェクトの中心となった社員からは、『YammerやTeamsを使うことで、組織や地域を越えてメンバーが自由にやりとりできるようになった。この環境を活かして製品化までやり遂げることで、高い視座を持った社員同士の自由なつながりが社会への価値提供になるという事例をつくりたかった』と聞きました。私も『社員が自由につながる』ことにDNPグループの成長の可能性を感じ、YammerやTeamsの利用促進に取り組んできました。努力が報われる瞬間でした。」

さらに「オールDNP」の総合力発揮に向けて、さまざまな変革を行うべく、「挑戦」を重ねている。

「日々の業務について、Teamsも活用しながら、社外のパートナーも含めたコラボレーションを進めています。DNPグループ全体への情報発信は、社内ポータルでのニュース配信、動画配信があたりまえになっています。アンケートによる社員からのフィードバックも一般的になりました。みんなが望んでいた環境がMicrosoft365 にはあったんだと、あらためて驚いています。」

自律性が高まることで、個々が自走して新たなチームが生まれ、そこから新たな価値が創出されていく。DNPグループのブランドステートメントである「未来のあたりまえをつくる。」を推進しているのは、こうしたボトムアップ型のイノベーション・エコシステム(生態系)なのだろう。それを支えるプラットフォームとして、また本質的なDX(デジタルトランスフォーメーション)のエンジンとしても、Teamsに対する期待は大きいと前出の宮本氏は力を込める。

「徹底的に無駄な業務を排除して効率化を図るという意味でも、安全・安心に活用できるという意味でも、Teamsは最適なプラットフォームだと感じています。あらゆるデジタルツールを融合し、社内外の人や組織、企業文化をDXしていくハブとして、今後も有効に活用していきたいと考えています。」

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