関西電力と 合弁会社を立ち上げ 新しい枠組みで デジタル化を推進

戸野本 時直 氏

アクセンチュア 執行役員
関西オフィス統括責任者
戸野本 時直

関西オフィスはたった2年で人員が1000人を超えたということですが、急成長の原動力は何でしょうか。

戸野本デジタル化の波は関西にも確実に及んでいます。ただ、2年前は「DXについて知りたいけれど、東京のセミナーに行かないと最新の情報が取れない」という声を耳にするような状況で、関西の地場のプレーヤーではお客様の要望に対応しきれないところがありました。そこにDXの波を乗り越える技術や組織力を持っているアクセンチュアがはまったのではないでしょうか。

木元実は過去にも関西拠点を拡充させようとしたことがあります。これまでは時期ごとに繁閑差があったので、案件のたびに人を集め、テクノロジー部隊を中心に東京からの出張ベースでやってきました。しかし、今はシステム開発などの環境が進化して、関西から東京の最先端の案件を手がけることもできるようになりました。関西でフロントランナーの人材が育ってきたことが、今回の急成長の大きな要因だと感じています。

木元 由基 氏

アクセンチュア
テクノロジー コンサルティング本部 関西統括
マネジング・ディレクター
木元 由基

沖村出張ベースだったのはコンサルティング部隊も同じでした。関西には特定の製品領域においてグローバルで強い競争力をお持ちの企業が多く、案件単位ではなく中長期的にサポートさせていただきたいという思いがありました。そこで、今年の組織変更を機にビジネスコンサルティング本部の機能も関西に持ってきたのですが、それによって、点や線ではなく面で関西のお客様をご支援できる体制が整った。それも直近の成長の一因でしょう。

戸野本面で支援するという意味では、関西電力様との取り組みがわかりやすいかと思います。電力業界も、電力自由化や再生エネルギーの活用など、既存の仕組みだけでは対応できない環境変化が起きています。生き残りにはDXが欠かせませんが、既存のシステム部門の中にDX推進部をつくるような、組織をディスラプションしながら変革していくことは現実的には難しい。そこで私たちもコミットする形で資金と人を出し合い、ジョイントベンチャーで「K4 Digital(ケイフォー デジタル)」という合弁会社を立ち上げました。

新しい枠組みを通して、すでに数多くの技術検証が始まっています。例えば、水力発電所でのスノージャム(シャーベット状になった氷)の自動検知もその1つです。スノージャムが取水口に詰まると発電量が落ちるため、従来は監視員がモニターで見てチェックしていました。しかし、これでは監視員の方の負担が大きい。そこで画像解析技術を用いて自動検知する仕組みをつくり、業務の効率化に成功しました。「K4 Digital」ではこのような技術検証を実際に行いながらデジタル人材を育成しています。

沖村 啓太 氏

アクセンチュア
ビジネス コンサルティング本部 関西統括
マネジング・ディレクター
沖村 啓太

関西はグローバルで残された 数少ないフロンティア

関西オフィスは、どのようなメンバーが集まっていますか。

沖村関西に来るとき、戸野本にこう言われました。「アクセンチュアはすでに世界の主要都市に拠点がある。ただ、日本は東京の一極集中。関西は残された数少ないフロンティア。開拓者精神を持った人と一緒にやりたい」。これはすごく響きましたね。同じように、関西で一旗揚げようという思いでジョインしたメンバーは多いと思います。

木元実際、フロンティアですよ。アクセンチュアはさまざまな組織変革に取り組んでいますが、規模は小さくてもフルラインナップの関西オフィスでまず試すことが多い。関西というと東京の二番煎じに思われがちですが、むしろ変革の先端に立っています。

関西オフィス

戸野本あと、関西オフィス所属社員は「関西を活気づけたい」というモチベーションが強いですね。就職で東京に出てきたものの、「いい機会なので地元に戻りたい」と異動してくる関西出身者も多いので。もちろんUターンした人だけでなく、親に止められて地元でキャリアを構築してきた人、海外から移住してくる外国人もいる。さまざまなバックグラウンドを持った人が活躍できる、多様性のある職場です。

木元そういえば今日の3人も関西出身。戸野本と私は神戸で、沖村は京都の出身です。

戸野本関西は人材輩出地域ですが、裏を返せば流出地域でもあります。しかし、関西でやりがいのある仕事が増えてキャリアをつくれる環境ができれば、いい人が集まって企業や地域が強くなり、それがまた人を呼び込むことにつながっていく。今はその分岐点。好循環の流れを地域と一緒につくっていきたいですね。

関西でのビジネスは 「シンプルさ」と 「スピード感」がカギ

関西企業のパートナーとして意識していることはありますか。

沖村関西では、「きみたちが見せてくれる価値は何やねん」ということを非常にシンプルに問われますね。求められるのは、抽象ではなく具体、遠い先の話ではなく来年。ですから、中長期的に取り組まないと成果が出ないものについては、スモールサクセスで実証して効果を肌で感じていただくことを意識しています。

木元その点でもアクセンチュアは強みがあるかもしれません。お客様に提供するソリューションの多くは、私たちがすでに日本や世界のどこかで取り組んだ経験があります。先端技術でも、「ほかでこのような先行事例があり、リターンはこうでした」と生々しくお伝えできます。

沖村もう1つ、スピード感も関西のお客様の特徴でしょう。アクセンチュアはこれまで東京やグローバルでもジョイントベンチャーを立ち上げてきましたが、「K4 Digital」は議論の端緒から半年で会社を立ち上げた。これは記録的なスピードです。

戸野本関西のみなさんは思い切りがいいですよね。未経験のことでも、納得してGOサインを出したら、ブレずに一直線でやる。そういう意味ではDXなどの大きな変革は関西のお客様のほうが得意かもしれません。

関西

大阪に「新世界」というエリアがあります。新世界はテーマパークのようなコンセプトで開発されて、昔はエッフェル塔や凱旋門のミニチュアがあったそうです。関西は東京に対抗意識があるとよくいわれますが、もともとは東京を通さずに世界を直接見ていました。

今みなさんとお仕事していると、かつてのマインドに近い視野の広さを感じます。実際、今はロケーションフリーで、関西からでも全世界とつながってビジネスができる。そのチャレンジに、ぜひ私たちも貢献したいと考えています。

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