稀に見る、万能型のドレスウォッチ

新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活を大きく変えた。とくに、外出自粛期間中に多くの人がリモートワークを経験したことで、こうした働き方が成立するのではないかと考える企業がいくつも出てきている。

それなりの数の人々が働き方を変えれば、ライフスタイルも変わる。わかりやすい変化をいえば、服装のスタイルもである。例えば、すべてリモートで、もしくは週の2、3日だけ出社して、あとは自宅での作業となると、スーツを着る機会は激減する。これまでの流れで増えてきていたビジネスパーソンのカジュアル化は、さらに進んでいくことだろう。

ドレスウォッチに軸足を残しつつ、カジュアルに

時計「クラシックハートビートムーンフェイズ」
21万5000円（税別）／
フレデリック・コンスタント

ジャケット3万3000円、ニットポロシャツ2万2000円／ともにデザインワークス、チーフ6800円／アトリエエフアンドビー、バッグ3万9000円／ザディレッタント×デザインワークス（すべてデザインワークス銀座 Tel:03-3573-6210）
価格はすべて税別

ドレスウォッチに軸足を残しつつ、
カジュアルに

スイスのマニュファクチュールブランド、フレデリック・コンスタントから、この状況を予見したかのような新作モデルが登場しているので紹介したい。それは代表作「クラシックハートビート」からである。このモデルはエレガントなドレスウォッチなのだが、ダイヤルに穴を開けてムーブメントの動きを見せるという斬新なアイデアを盛り込んだ、画期的な機械式時計でもある。

それでもベースとなるケースやダイヤルデザインは、伝統的なスイス時計の意匠を継承しており、クラシカルなイメージが先行する。だからこそ、これまでのビジネススタイルの大定番であるスーツスタイルによく似合うモデルといわれているのである。

今年の新作「クラシックハートビートムーンフェイズ」は、これまでのデザインのディテールを少し変更することで、ドレスウォッチに軸足を残しつつ、よりカジュアルに対応できるスタイルとなっている。

まずダイヤルに、ヨットやボートの甲板を彷彿させる立体的なホリゾンタルストライプを採用。テンプの動きが見えるハートビートとの相性がとてもいい。美しいボートの肢体とエンジンの関係のようなものである。そこにムーンフェイズが置かれることで、ロマンティックな海のムードがつくり出される。

そのダイヤル上のインデックスは、エレガントなローマ数字の白い植字をシルバーで囲み視認性を上げ、実用性を高めている。そして実用性といえば、何といってもラバーストラップとの見事な融合である。このラバーストラップは、柔らかく、装着感も抜群にいいのだが、何よりも、このようなクラシカルなドレスウォッチ然とした腕時計とラバーストラップが、これほど合うとは驚きである。このモデルがつくり出す“マリンテイスト”なスタイルに大きく貢献していることに間違いないだろう。

ヨットハーバーでも、オフィスでも映える

時計「クラシックハートビートムーンフェイズ」
21万5000円（税別）／
フレデリック・コンスタント

シャツ1万5000円／リーセンシィオブマインアバハウス、パンツ1万1800円／アバハウス（ともにアバハウス原宿 Tel:03-5466-5700）
価格はすべて税別

ヨットハーバーでも、
オフィスでも映える

例えば、軽めの素材を使用したネイビージャケットとポロシャツというコーディネートは、海沿いのカフェでも、ヨットハーバーでも映えるし、現在ではオフィスでも違和感がない。むしろ、おしゃれないでたちといえよう。

この立ち位置に「クラシックハートビートムーンフェイズ」は似ているのである。だから、ジャケパンスタイルと合わせて装着してもピタリとはまるのだ。それは、シャツ1枚であっても同様である。もちろん、清潔感のあるおしゃれなシャツという条件は付くのだが。

過去も現在も、完璧な万能ウォッチは存在しないと思うのだが、近年は多くのシチュエーションをカバーできる、デザイン面で万能に近いモデルは出てきていると思う。だが、それらの多くはテクノロジーの進化によるスポーツウォッチの薄型化によるものが多い。すなわち、この「クラシックハートビートムーンフェイズ」のようなドレス寄りのそれには、なかなかお目にかかることがないのである。

とても希少な腕時計の1つ、といえるだろう。

モデルは3種類。すべてステンレススチールケースで、ネイビー、ホワイト、ブラックのダイヤルがある。ストラップは、ネイビーダイヤルにはネイビーラバーが、ホワイトおよびブラックダイヤルにはブラックラバーが付けられる。すべて日本限定モデルである。