1989年に人材派遣サービスを行う「インテリジェンス(現:パーソルキャリア)」を創業。1998年、父親から多額の負債を抱えていた「大阪有線放送社(現・USEN)」を引き継ぎ再生。そして2010年には映像配信事業の「U-NEXT」を分離独立し、後に上場を果たした。
2017年、U-NEXTとUSENとの経営統合によりホールディングス化。改めて「USEN-NEXT HOLDINGS」の代表取締役社長CEOに就任した宇野康秀氏は、ホールディングス化に至った経緯をこのように振り返る。
「理由は大きく2つあります。1つはUSENから分離したU-NEXTを上場会社にまでつくりあげることができた。その段階に至って、両社の経営に関わっていくうえで、統合するほうがガバナンスの面でいいだろうという判断です。もう1つは、今年で社長業を始めて30年になりました。これまでは何でも、さあやるぞと自分が先頭に立って引っ張ってきましたが、俯瞰した立場で経営者を育てていく経営スタイルに変わらなくてはならないと思ったこともきっかけでした」
現在、店舗サービス、通信、業務用システム、コンテンツ配信、エネルギー、メディアという6つの分野で事業を展開し、HD傘下に18ものグループ企業を抱えている。今後は音楽や映像配信のみならず、有線放送で培った顧客資産を生かし、IT化、IoT化といった店舗ソリューション事業や電気、ガスといったエネルギー事業においてクライアントのコスト削減を実現し、新たな投資への原資創出につなげていく。
現在、ビジネスシーンにおいて宇野氏はショーファーカーを利用するため、自らステアリングを握ることはない。だが、新しいアイデアを考える場所としてクルマは適した場所の1つと話す。
「もちろん、社内でも何かを解決するためのアイデアはつねに考えていますが、クルマの中で長い時間を過ごしていると、1つのことを集中して考えられる。結果として車内でいいアイデアを思いつくことは非常に多いですね」
社用車の選択も自らが行うという。
「実はアウディA8も候補として検討していて、資料請求をしようと思っていたところでした。デザイン的には華美すぎず、落ち着いていてとてもスマートな印象です。インテリアには最先端の機能が詰まっていますし、そして乗り心地もいい。ビジネスの会合などでは、どういうクルマに乗っているのか注目される場面も多い。そんなとき、センスのいい選択だなと思われます」
宇野氏も自身の移動手段として候補に挙げているというAudi A8。全長5170mmのスタンダードボディーのほかに、ゆとりある後席を実現した全長5300mmのロングホイールベースも用意。インテリアには最高級のバルコナレザーを使用し、オプション装備のリヤシートリモートでは後部座席からマトリクスLEDインテリアライトやシートマッサージなどを操作できる。広く、快適な車内空間はプライベートスペースとして活用されることも多い
アウディA8は、自動運転のターニングポイントとなるレベル3の技術を搭載したモデルだ。残念ながら、まだ法整備が追いついておらず一般公道において実用化はされていないが、宇野氏は最後にこんな話をしてくれた。
「クルマの進化に合わせて、当社のサービスもこんなことができるんじゃないか、あんなことができるんじゃないかというアイデアを持っています。われわれの思い描く近未来をコンセプトムービーにして新入社員たちにも見せているのですが、その最後のシーンではクルマが自動運転モードに切り替わると、フロントウィンドーがスクリーンに変化してU-NEXTのサービスによって映画が始まります。クルマは、エンターテインメントはもちろん、物流も劇的に変える可能性を持っています。グループスローガンとして『必要とされる次へ。』を掲げています。進化することを積極的に推進し、最先端で時代を引っ張っていく立場であろうという意志をメッセージにしたものです。これは、先進性をうたうアウディにも通じるものではないでしょうか。それこそが、サステイナブルな企業であることにつながっていくのだと考えています」