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東京の吉祥寺という絶好のロケーションを誇る成蹊大学。新制大学となって今年でちょうど70年になる成蹊大学が、かつてない大規模な改革に乗り出している。2020年度から第1弾がスタートするこの改革の狙いは何か。これからどのような人材を育てようというのか。
成蹊大学の北川浩学長と大学教育に詳しい大学通信の安田賢治常務取締役が語り合った。

制作・東洋経済企画広告制作チーム
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人間にはAIに置き換え
られない能力がある

成蹊大学 学長 北川 浩

成蹊大学 学長
北川 浩

安田 近年、多くの大学が改革に取り組んでいます。18歳人口が減少し、大学進学率も大きく伸びるとは考えにくい状況にあります。そのため多くの大学が、いかに魅力ある大学にするかということを考えるようになっています。それが多くの大学に改革を促す要因となっています。成蹊大学も「成蹊ブリリアント2020」という大学改革を推進されていますが、これもやはり少子化に触発されたものなのでしょうか。

北川 そこは少しほかの大学と違うかもしれません。現代社会は過去にない速さで変化をしています。何が起きるかわからない先の読めない時代です。そういう時代に20世紀と同じことをしていたのでは、社会に適応できない若者たちを輩出してしまうことになるのではないか。そういう社会でも活躍できる人材に育てるためには、どういう力を養えばいいのか。私たちの改革はそういう発想で始めたものです。

 AIなどのスマートテクノロジーの登場により、これから無くなっていく仕事がたくさんあるといわれています。しかし、AIなどでは置き換えられない領域が必ずあります。1つ目は、物事を多面的に見て総合的に判断する総合的思考力です。2つ目は、クリエーティビティー、創造的思考力。そして3つ目は、コミュニケーション能力です。コミュニケーションの本質は、意思や感情を伝達することにあります。しかしAIには意思とか感情は持ちえない。だからこれも最後まで人間に委ねられる能力といえます。

経済学部の再編と
経営学部の新設

大学通信 常務取締役 安田 賢治

大学通信 常務取締役
安田 賢治

安田 人づくりという長期的な視点から大学改革を考えておられることがよくわかりました。

北川 ただ、今挙げた3つの力を1人の人間がすべて担うのは難しいでしょう。だからチームを組むことが大切になります。この場合、それぞれ異なった得意分野を持つ人間が集まったチームを組むことがポイントになります。分野を超えて集まったチームがプロジェクトに取り組んだときどれだけの力を発揮できるか、そういう体験を学生にさせることがこれからの大学教育に強く求められると考えています。

安田 成蹊大学は以前からゼミの成蹊とかコラボの成蹊ということを標榜されていますが、そういう特色をこれからさらに強めていこうということですね。そうした発想での大学改革の第1弾として、2020年度から経済学部を再編し、新たに経営学部を新設する構想だと聞いています。

新しい経営学部と経済学科の新設を構想中

大学改革の第1弾として、2020年4月、経済学部を刷新。新しい経営学部と経済学科の新設を構想中。

北川 経済学と経営学は本来、異なる方法論を持った学問分野ですので、はっきり分けたほうがいいと考えました。経済学部の経済数理学科では、データ分析ができ、数理モデルも扱える人材を育成し、現代経済学科では社会課題の本質を考えるために現場に出てディスカッションをし、解決策を生み出せる人材の育成を目指します。一方、経営は総合的な人間の営みですから、経営学部では総合的なマネジメント能力を養うことが重点になります。

企業も高く評価する
丸の内ビジネス研修

安田 経済数理学とか現代経済学という学科は、これからの時代に間違いなく必要です。経済数理学は文系、理系の枠を超えた領域ですから、そういう意味でも興味深い。新しい経済学部、経営学部では教育の仕方もだいぶ変わりそうですね。

北川 1年次、2年次からゼミ的な少人数の科目をたくさん設けようと検討しています。昨年、経済学部のあるゼミでは学生が島根県に行き、島根県立大学の学生と一緒になって津和野の町おこしとか農業問題などを調査し、解決策を考えるという試みをしました。こういう教育をもっと広げていけるといいですね。

安田 成蹊大学は自治体と組んで現地に行く演習を経済学部でおやりになった。やる気があればこういうことが既存の学部でもできることを実証したことになります。そういえば成蹊大学が6年前から実施している丸の内ビジネス研修(MBT)は、北川学長が考案された取り組みだそうですね。

丸の内ビジネス研修

ビジネスの中心地である丸の内を舞台とした「丸の内ビジネス研修」では、半年を超える期間をかけて、徹底した実践体験で社会に求められる力の素地をつくる人材教育を行っている。

北川 経、法、文、理工の4学部の学生が混ざった6人のチームに企業が課題を出し、学生がそれに対する回答を3カ月かけて考え、夏に丸の内でプレゼンをします。それを企業の方が講評してディスカッションをする。その後、インターンシップなどを挟みながら11月に学生がインターンシップで学んだことや、課題に取り組んだことなどを発表するというもので、4月から11月まで約8カ月間にわたる人材育成プログラムです。丸の内でのプレゼンのときは、学生がスーツを着るのがルールです。いわば完全アウェーの状況下でプレゼンをするわけです。大学の慣れ親しんだ教室で、ラフな格好をしてプレゼンをするのとでは緊張感が全然違います。こういう体験こそが学生の成長につながるのです。

全学での
グローバル化を推進

安田 今の学生は異年齢の人との付き合い、社会人との付き合いが極端に少ない。自宅でも近所付き合いはほとんどないのが現状でしょう。学生時代に大人と付き合う経験はマナーや言葉遣いを学ぶうえでも意味がありますね。社会に出たら緊張しながらのプレゼンなんていくらでもあるわけですから、こういうプログラムはとてもいいですよ。

 大学の課題ということでいえばもう1つ、グローバル化があります。日本の大学は国内だけでなく海外の大学とも競争しなければならない時代に入っていて、グローバル化が今後も進むのは間違いありません。ただ、既存の学部でグローバル化に取り組んでいる大学も多いのですが、いわゆる国際系の学部がないとそれがうまく伝わらないようです。

北川 浩 安田 賢治

北川 本学では全学でのグローバル化を推進します。20年度からは全学部の学生が参加できる学部横断型グローバル教育プログラム「EAGLE」を発足させます。この学生たちは今年の4月に完成する国際学生寮に入れます。この寮には日本人学生と海外留学生が各30人ずつ入って生活します。外国人と24時間一緒に暮らす環境です。授業はほとんど英語で行います。そして1年の夏にはこのプログラムの学生全員をケンブリッジ大学に連れて行き、約3週間の短期留学を経験させます。本学は以前からケンブリッジ大学と交流があり、九州大学と連携して学生をケンブリッジ大学に送り込むプログラムを現在行っています。ダイバーシティを広げるため海外留学生の受け入れも増やす計画です。キャンパスで、日本人学生が海外留学生と当たり前に話す、あるいは異なる学部学科の学生と交流する。ワンキャンパスにすべての学部学科がある本学は、こういう取り組みをするうえで大きなアドバンテージがあると考えています。

大学入学は
ゴールではなくスタート

安田 企業に、これからの人材に必要なスキルを問うと、多くの方がコミュニケーション能力やプレゼン能力を挙げます。今日の話を聞いて、成蹊大学がまさにそういう能力を伸ばそうと取り組んでいることがよくわかりました。吉祥寺に近い絶好の立地で、ワンキャンパスという特色を持ち、先生方と学生の距離が近いというのも成蹊大学の特長です。しかし一方では、非常に厳格な教育をされている。以前にインタビューさせていただいたときにも、学生一人ひとりによく目を配りながら、甘やかすようなことはしない大学なのだという印象を強く持ちました。

 変化の激しい社会の中でこれから大学の果たす役割はますます重要になっていきます。なぜ基礎的な学問をしなければならないのかと思う人もいますが、それは次のステップに進むために必要なものなので、人間教育の部分も含めて成蹊大学にはこれからもぜひそういう教育をしていただくことを期待します。

イメージ

北川 大学に入り、社会に出ると、未知のことばかりに遭遇します。だから新しいことを学び、身に付けるスキルこそ、これからの時代を生きるために最も重要なスキルといえます。厳しい受験勉強を経て大学に入ったら「これで終わった」と思う人もいると思います。しかし大学入学はゴールではなく、社会に出ていくためのスタートラインに立ったことを意味します。大学というのは、高校生時代には見たことも聞いたこともないものがたくさんあります。そうした新しいものやことを積極的に学んでいけば、いろいろな可能性が広がっていきます。だから自分がどれだけ新しいことを学び、挑戦して、どれだけ自分のものにしていくことができるだろうかと、わくわくするような気持ちを抱いて入ってきてほしいと思います。

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