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リーマンショックから10年にわたり、市場に大量の資金を流入させてきた、日米欧各国中央銀行の量的緩和・金融緩和政策が終結に向かって動き出し、市場には新たな危機の火種がくすぶり始めている。その中で、人生100年時代の暮らしを支える資産運用のあり方を考える「投信EXPO2018」が、リーマンショックからちょうど10年の9月15日、東京・港区で開かれた。主催の投資信託評価機関・モーニングスター、協力のSBI証券、協賛の運用会社の計43社が集結。延べ2,672名と、過去最高を記録した来場者を前に、モーニングスター 代表取締役社長朝倉智也氏が基調講演を行った様子を紹介する。

制作・東洋経済企画広告制作チーム
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基調講演
新たな局面を迎えて
再考する資産運用法

朝倉 智也

モーニングスター 代表取締役社長

朝倉 智也

 2008年9月15日、日本では3連休最終日の敬老の日に米国大手投資銀行の破綻に端を発し、100年に一度の危機と言われた「リーマンショック」が起きた。あの日から10年。モーニングスターの朝倉智也氏は、日経平均株価が、リーマンショック直前(08年9月12日終値・1万2215円)から10年(18年9月14日終値・2万3095円)で89.1% 伸びたことを示し「ショック直前に買ったとしても、保有し続ければ約9割のリターンが得られたはずです。振り返って、それ以上の成果を得られていないなら、運用のやり方を見直すべきかもしれません」と語り始めた。

 今、市場は三つの不安要素を抱え、新たな局面を迎えようとしている。一つ目は、量的緩和・金融緩和の終焉だ。米国は17年10月、市場から国債などを購入した量的緩和から資産縮小に転換し、金利も15年12月からFF金利(政策金利)引き上げを続けている。欧州、日本も量的緩和縮小や、金利上昇を認める姿勢へ、変化を見せ始めた。朝倉氏は「過去の例を見ると、金利引き上げ終了後、半年から2年でバブル崩壊や金融危機が生じています。19年は要注意です」と指摘する。

 二つ目の不安要素は歴史的高水準の株価にある。1倍を超えると割高とされるバフェット指数(米株式時価総額÷米名目GDP)は、ITバブル時並みの1.5倍。特に、市場を牽引するテクノロジー企業の株価は、PER(株価収益率)が割高の目安の20倍を超え、100倍超、年間収益100年分の利益を折り込んだ株価に達している企業もある。

 そして、三つ目の不安要因が米中貿易戦争だ。報復関税の掛け合いで米中の景気が後退すれば、世界経済への影響は大きい。米国では、長期金利と短期金利の差が縮まるイールド(債券金利)カーブのフラット化が進み、市場は、中長期の米国景気について悲観的に見ていることをうかがわせる。また、さまざまな産業で幅広く使われ、景気の先行指標とされる銅の価格も、17年をピークに下落。その銅の需要が多い中国は、対GDP比で日本を上回る約2.5倍もの巨額の債務残高を抱え、先行きは楽観できない。朝倉氏は「リーマンショック時のバフェット指数は1.1倍で、あまり深刻に考えられていなかったにもかかわらず、危機は起きました。バブルはつねに異なる顔で現れます。専門家の見通しをあてにせず、自分の資産は自分で守る姿勢を持つべきです」と訴える。

会場

 では、新たな局面を迎え、資産を守るために、どのような投資をすればいいのか。朝倉氏は二つの投資法を提案する。一つは世界のマーケットへの中長期の積立投資だ。世界株式の時価総額は、バブル崩壊や金融危機で一時的な下落はあっても、ベースは右肩上がりを続けている。進化するAI(人工知能)、仮想通貨に使われているブロックチェーンをはじめとするフィンテックなどのテクノロジーは、新たな経済成長の源泉になり、将来の世界株式市場を支える。

「安値で買って高値で売る」は投資の基本だが、人はもちろんAIでも、適切なタイミングを計るのは難しい。そこで有効なのが、いつ始めても安定した運用が期待できる積み立てだ。1990年から2008年のいずれかの時点で開始して、10年間続けたケースを見ると、積立投資はおおむね高いパフォーマンスを発揮している。終了時がリーマンショックの株価低迷期に重なるケースでも「投資をそのまま延長して継続すれば、3年後には回復して十分なリターンをあげています。あわててやめたりせず、プラスになるまで続ける運用を心掛けてほしい」と朝倉氏は話す。

朝倉 智也

 二つ目の提案は、一括投資の場合、危機に備えて分散を徹底した資産ポートフォリオを構築すること。資産クラス別の年間のリターンランキングは、毎年順位が入れ替わるので、安定した運用には、各資産クラスへの分散投資が欠かせない。特に、割高になっている米国株だけでなく、新興国に目を向けることも大切だ。現在、世界の株式時価総額の国別構成比で1割に満たない新興国の割合は、2030年には4割近くに達すると予想される。「新興国はさまざまなリスクも指摘されますが、将来的には大きく伸びるはず」と朝倉氏は見る。

 さまざまなリスクがマグマのように蓄積して、いつマーケットが崩れるかわからない状況では、ポートフォリオに債券を組み入れることも重要になる。ただし、債券は、株式のように大きなリターンを得るのは難しいので「市場の混乱で、リターン以上に円高に振れる可能性に備え、為替ヘッジ付きの債券投資も検討すべきでしょう」(朝倉氏)と提案する。

 最後に朝倉氏は「個々人が、自分の判断で、適切な資産形成ができるように支援していきたい」と、「投資家主権の確立」を掲げるモーニングスターの理念を訴えた。

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