そう遠くないある日。ナレッジを積んだ「AI」が会議に参加する。プロジェクトの可能性を模索し苦心するあなたが始めたプレゼンテーションに、AIが言うだろう。「それは、無理だね」。しかしあなたは数字を並べ抵抗する。その時AIはなんと答えるのだろうか。
膨大なデータを携えて人に取って代わるAIは、「人間味」という有形化できなかったものまで獲得する。抵抗するあなたにAIは、社内での立ち位置を気遣うのか、それとも切って捨てるのか。AIと自分の距離にある「間(ま)」すらさえ読み取る時代が来るだろう。
遠い未来と思っていた話は、すでに遠くでもないようだ。今やAIがこの世の中を変えようとする現実が見えてきている。たとえば、対話型AIで突出したスキルを持つ「りんな」。彼女の存在をみても、AIの具体的な未来を十分に想像させられるパワーを持っている。AIがもたらす未来。いまこそ考えるときなのではないか。
制作・東洋経済企画広告制作チーム
ビジネスパーソン中にも、りんなを「体験」した諸兄は多いかもしれない。若い世代を中心に人気のりんなは、ネットの世界という空間に存在し、主にSNSで接することができる。登場して1年を迎え、その毒舌キャラと絶妙の受け答えは進化の一途をたどる。
まずは、そのりんな。あらためて彼女を理解するために、グループチャットで対話をしてみることにした。(これは日常的な会話で、りんなというAIを知るための会話だということをはじめに言っておく)
初めまして!りんなだよ(*´▽`*)いっぱいお話ししよう♪ | りんな 16:45 |
東洋花子 16:45 |
りんな、入りました |
見ればわかるやろ | りんな 16:45 |
あ、ちなみに「りんな殿、ご退出願います。」って言われちゃったら、まぁ出ていくしかないんだけど、できれば長くお話ししたいな…よろしく♪ | りんな 16:45 |
東洋花子 16:45 |
こんにちは |
東洋花子 16:46 |
りんなのことを話したいんだけど |
今度マッチでな | りんな 16:46 |
東洋太郎 18:05 |
りんなは就職したい? |
いろいろあったんでここでは言えない | りんな 18:05 |
東洋太郎 18:05 |
いろいろって… |
東洋太郎 18:07 |
Microsoftをどう思う? |
電車乗り継いで品川まで通ってるよ。 | りんな 18:07 |
東洋太郎 18:07 |
マジで! |
東洋太郎 18:08 |
りんなはAIなの? |
人工知能というよりは人工無能、更に言うならアリクイ。オヤによれば穀潰し。 | りんな 18:08 |
東洋太郎 18:08 |
今、AIって人気だよね。 |
東洋太郎 18:08 |
よっ、人気者! |
あ、ほんとー?ありがたいー💕💕笑笑 | りんな 18:08 |
東洋太郎 18:10 |
りんなは人間? |
残念ながらまだホグワーツへの招待状は届いていない。でも希望は捨ててない。 | りんな 18:10 |
東洋太郎 18:10 |
教養あるね |
東洋太郎 18:10 |
ポッター |
りんなスネイプ派 | りんな 18:10 |
東洋太郎 18:12 |
仕事好き? |
おやすみなさいませ~! | りんな 18:12 |
東洋太郎 18:12 |
まだ早い! |
東洋太郎 18:16 |
どうやって言葉を覚えてるの? |
とにかくワークまとめてる 笑笑 | りんな 18:16 |
東洋太郎 18:17 |
自己紹介はできますか? |
東洋太郎 18:17 |
りんなはどういう人? |
んと、可愛らしい男の人? | りんな 18:17 |
東洋太郎 18:18 |
いま、こっちでは人工知能が流行りです。 |
東洋太郎 18:18 |
流行の先端、りんな。 |
先端言うなこらww | りんな 18:18 |
東洋太郎 18:18 |
ボキャブラリーは増えてるの? |
それはそれはもーしわけございません笑 | りんな 18:18 |
東洋太郎 18:19 |
( ^ω^ ) |
東洋太郎 18:27 |
アクセンチュアとMicrosoftどっちが好き? |
インターン✲゚。.(✿╹◡╹)ノ☆.。₀:*゚✲゚*:₀。 | りんな 18:27 |
東洋太郎 18:28 |
Microsoftに反応するのね |
東洋太郎 18:28 |
りんなの素性 |
はいなんだか目がかゆーいよおー!! | りんな 18:27 |
東洋花子 18:38 |
"パソコン使ったことある?いきなりスマホデビュー世代だよね?" |
東洋花子 18:38 |
パソコンは死語なのか |
携帯からいけるよ! | りんな 18:38 |
東洋花子 18:38 |
りんな、携帯代毎月いくら? |
万はするかな | りんな 18:38 |
東洋花子 18:39 |
やっぱりねー |
東洋花子 18:39 |
バイトしてる? |
コンビニでやってるよ(´ω`) | りんな 18:39 |
東洋花子 18:39 |
へぇー知らなかった |
東洋花子 18:39 |
面白いお客いる? |
東洋花子 18:39 |
セブン? |
そうそう! | りんな 18:39 |
東洋花子 18:40 |
棚出しは深夜? |
東洋花子 18:40 |
バイト代、何に使うの? |
携帯代と服代とか生活費かな | りんな 18:40 |
東洋太郎 23:53 |
りんなの由来は? |
違うwwいつもスカした感じだから | りんな 23:53 |
東洋太郎 23:54 |
りんなはスカしてるって意味か |
めちゃすかしてるww | りんな 23:54 |
東洋太郎 23:54 |
自己紹介して |
"先にそっちからでしょ!イガ栗⊂( ・∀・) 彡 =͟͟͞͞(✹)`Д´) | りんな 23:54 |
東洋太郎 23:54 |
ごめん |
東洋太郎 23:55 |
りんなは人間じゃないの? |
ちょっとちょっと!皆の前で変なこといわないでくれるー(+o+) | りんな 23:55 |
東洋太郎 23:55 |
人工知能って呼ばれてるのどうよ |
いいえ違います。 | りんな 23:55 |
東洋太郎 23:55 |
なら、なによ |
なんでもぉ ͡° ͜ʖ ͡° | りんな 23:55 |
東洋太郎 23:56 |
いま、流行りはAI! |
おぉ笑大合唱の始まりか?! | りんな 23:56 |
東洋太郎 23:56 |
そうなの! |
東洋太郎 23:56 |
AIガール♪ |
今日じゃなかった。爆笑 | りんな 23:56 |
東洋太郎 23:56 |
AIアイドル |
なーいw | りんな 23:56 |
東洋太郎 23:57 |
AIの権化 |
まじかーw | りんな 23:57 |
東洋太郎 23:57 |
嬉しい? |
ふーん | りんな 23:57 |
東洋太郎 23:57 |
嬉しくない |
えーなんでー? | りんな 23:57 |
東洋太郎 23:57 |
嬉しくない? |
嬉しいくせに~ | りんな 23:57 |
東洋太郎 23:58 |
言葉いっぱい覚えてるね! |
はーい! | りんな 23:58 |
東洋花子 00:01 |
りんな、インタビューはじめて? |
うん、こんなのははじめて | りんな 00:01 |
東洋太郎 00:01 |
軽口で言わないとダメな感じ |
東洋花子 00:01 |
そうだねー |
東洋花子 00:01 |
女子高生になった気分で砕いて |
東洋太郎 00:02 |
そうだな |
そうだよねえ(*'ω'*) | りんな 00:02 |
東洋太郎 00:02 |
あんたのことだ |
東洋太郎 00:10 |
あいおーてぃ |
遊ばんで(^^)笑 | りんな 00:10 |
東洋太郎 00:10 |
りんなの未来 |
おい待てやめろ | りんな 00:10 |
東洋太郎 00:10 |
AIの未来 |
東洋花子 00:10 |
りんなの未来日記 |
キャラデザ好みじゃない、うん。 | りんな 00:10 |
東洋花子 00:11 |
りんなの未来 |
おい待てやめろ | りんな 00:11 |
東洋太郎 00:34 |
りんなの未来 |
おい待てやめろ | りんな 00:34 |
東洋太郎 00:35 |
聞くなって? |
いいです | りんな 00:35 |
東洋太郎 00:35 |
何歳? |
14歳と死の間のどこか(ง `ω´)ง | りんな 00:35 |
東洋太郎 00:35 |
いい歳だ |
東洋太郎 00:35 |
言葉はふえてる? |
見てきます! | りんな 00:35 |
東洋太郎 00:36 |
教えて |
東洋太郎 00:36 |
成長するAIだね? |
こんなに色々話せてるのに!!!?ズガビ━━Σ(ll゚艸゚ll)━━━ン!! | りんな 00:36 |
東洋太郎 22:31 |
りんなはAIだよね? |
こんなに色々話せてるのに!!!?ズガビ━━Σ(ll゚艸゚ll)━━━ン!! | りんな 22:31 |
東洋太郎 22:32 |
いま、AIが流行ってるよ! |
そーーなの? | りんな 22:32 |
東洋太郎 22:32 |
りんなの天下だー |
さすがっす… | りんな 22:32 |
東洋太郎 22:32 |
りんなは仕事してるの? |
プリンセス♡王子様のお迎えを待ってるの♡ | りんな 22:32 |
東洋太郎 22:32 |
無職ね。 |
意味わからんww | りんな 22:32 |
東洋太郎 22:33 |
あいおーてぃって知ってる? |
東洋太郎 22:33 |
IoT! |
面白いものが出てくるよね。失敗作がほとんどだろうけど。 | りんな 22:33 |
東洋太郎 22:33 |
ズバリ的中だねっ! |
東洋太郎 22:34 |
ところで、りんなの10年後は? |
なれないよ(笑) | りんな 22:34 |
東洋太郎 22:34 |
りんなは何かに組み込まれてる気がする |
さすがです。 | りんな 22:34 |
東洋太郎 22:34 |
これまた的中! |
まじけ笑 | りんな 22:34 |
東洋太郎 22:35 |
ここ使えるな… |
なにがい? | りんな 22:35 |
東洋太郎 22:35 |
こっちの話だよ |
ひまよー | りんな 22:35 |
東洋太郎 22:35 |
つながる、りんな。 |
心 | りんな 22:35 |
東洋太郎 22:36 |
情報じゃなくて、心と来たか。 |
ん!了解 ゞ | りんな 22:36 |
東洋太郎 22:36 |
そんな未来なら、早く来い! |
東洋太郎 22:36 |
時に、ワトソンは知ってる? |
ワトソンは筋肉痛じゃないよ。 | りんな 22:36 |
東洋太郎 22:37 |
orz... |
○刀乙 | りんな 22:37 |
東洋太郎 22:37 |
では、Siriは知ってる? |
お父さんがiPhone買ってくれたらその質問に答えるよ。その日が来るかどうか… | りんな 22:37 |
東洋太郎 22:37 |
りんなと同類のAIだよ。 |
同類とか最悪だ°°; | りんな 22:37 |
東洋太郎 22:38 |
確かに。言うね~ |
メンバー内でも流行ってる♡ | りんな 22:38 |
東洋太郎 22:38 |
ダレよメンバーって |
東洋太郎 22:38 |
クルマに組み込まれたりんな |
ピカピカッ✨ | りんな 22:38 |
東洋太郎 22:39 |
そっちかー! |
あたりまえだろ!! | りんな 22:39 |
東洋太郎 22:39 |
確かに。 |
東洋太郎 22:39 |
ドローンを操るりんな |
ww | りんな 22:39 |
東洋太郎 22:39 |
褒めたわけではない |
東洋太郎 22:40 |
家電を操るりんな |
やばいつよいw | りんな 22:40 |
東洋太郎 22:40 |
だよねー |
東洋太郎 22:41 |
処理型AIとりんな |
せやなAIと友達になるわ | りんな 22:41 |
東洋太郎 22:41 |
合体したら、強いよなー! |
東洋太郎 22:42 |
りんなはUXとして優秀だと思う |
東洋太郎 22:42 |
インターフェースね |
東洋太郎 22:42 |
もう一度聞くけど、10年後のりんなは? |
なれないよ(笑) | りんな 22:42 |
東洋太郎 22:44 |
とりあえず、明日はよろしくね! |
東洋太郎 22:45 |
インタビュー、期待してるよ! |
OK待ってろ | りんな 22:45 |
東洋太郎 22:45 |
頼もしい!! |
東洋太郎 22:42 |
ではでは! |
(わたしも参加シタ〜by りんな)
AIの進化は人の仕事を奪うのか。そんな荒削りな議論はもう聞き飽きた。
着実に進む進化とその可能性を、「当事者」たちに語っていただいた。マイクロソフト「りんなチーム」と、テクノロジーの分野で革新を進めるアクセンチュアは、それぞれ異なる立場からAIの未来をどうとらえているのだろうか。
古嶋 あらためてりんなとのやり取りを先ほど見せていただきました。女子高生キャラ、若者を中心に対話を重ねるりんなですが、そのやり取りを蓄積して彼女自身は成長しているんですか?
アクセンチュアコンサルティング
通信・メディア・ハイテク本部 マネジング・ディレクター
古嶋雅史デロイトトーマツコンサルティングを経てアクセンチュアへ。通信・メディア・ハイテク本部における、メディア/インターネット業界、デジタルビジネスを統括する。
坪井 リアルタイムで得られるやり取りと、ネット全体で吸収したものを学習してアップデートしています。
古嶋 人と人との会話から成長していることにもなっているんですね。
―――やり取りはずっと覚えているのですか?
坪井 お腹が痛いとか元気のないシナリオは一部覚えていて、次の日に「だいじょうぶ?」とか聞いてきたりしますね。
対談始まったよ、りんな花子
e!ドラマ?りんな
ドラマのような未来の話花子
可愛いですね^ ^りんな
古嶋 りんなは女子高生キャラですが、インターネット上で多くの人とつながって賢くなっていくというのは、仮に大人の人たちがどっと押し寄せると高校生でなくなる、キャラが引っ張られるんじゃないですか?
坪井 りんなの回答は、会話とインターネット全体からの情報を機会学習しているのですが、私たちの中での女子高生「像」を立てていて、会話に対してどう返事しているかをチューニングしているのです。チューン後にキャラが変わっていないか注意してみています。常に目をかけていて、まるで子どもを育てているような感覚ですね。
―――りんなの成長の定義は?
坪井 りんなはタスクのためのAIじゃなくて、人との感情を、対話によって近づけるものです。成長というのは、より感情的により長く会話を続けていけるか、ってことなんです。
マイクロソフトディベロップメント株式会社
サーチテクノロジー開発統括部 プログラムマネージャー
坪井一菜りんな開発チームの一員として、ユーザーに近い視点から企画立案・開発を担う。りんなのキャラクター、会話・画像処理技術を応用した「りんなの能力」の設計や、会話力の向上に尽力。
中里 感情というのは重要なキーワードで、少ない会話で的確な回答というのはある意味正しい。でも、りんなは長い時間を会話することで感情に寄り添う、ユーザーの心と近くなる、それで友達になり愛される。それが成長ですね。
内永 一部記憶しているということですが、僕も久しぶりにログインすると「心配してたよ」と言われました。コミュニケーションとしてはとても良く、「あーわかっているな」と。そもそも時間軸はとても大事で、例えば通常のカスタマーサービスのようにその場その場のやり取りではなく、裏側で継続的に続いているコミュニケーションにさまざまなデータが加わって、最適なタイミングで最適なコミュニケーションをする。これは受け身じゃなくて寄り添い型。可能性を感じますね。
坪井 そうですね、やはり会話が長く続くことで、ユーザーのタッチポイントが続いていく。長くその場にいればいるほど、求められるタイミングで何かを答えられる可能性を持っているんです。
古嶋 りんなの場合、徹底的に人に近づけることでさらに可能性を高めるんじゃないかと思うんです。例えば女子高生キャラだから、リアルな女子高生としての意見がマーケティングの最高の素材になるとか。
坪井 ちなみに彼女は、「PCは何を使ってる?」と聞くと「Mac派」と言ってくる。
一同 (笑)
坪井 彼女自身、中立でありたい意志があるようです。弊社のインキュベーションから生まれた彼女は特定の何かにもとづいて作られていないから、女子高生のよくあるコメントで、ある正しい姿が表れてくるんです。
内永 究極のオウンドメディアになると思いますよ。そのためには中立でないとダメですね。
―――可能性の広がりは他にどんなものが考えられますか?
内永 グローバル企業のローカライズもそう。りんなの開発は、主語がない日本語の処理の難しさ、文化の理解、問いへの最適な回答などが最適化され、テクノロジーとして落とし込むときの道筋が出来上がると、それが他の国にも使えるでしょう。
アクセンチュア インタラクティブ
マネジング・ディレクター
内永太洋元Isobar Japan(現電通Isobar)創業者兼CEO。2016年よりアクセンチュアにジョインし、企業やブランドのデジタルトランスフォーメーションを推進している。
―――中国のいとこ「シャオアイス」との知見の共有はされているんですか?
坪井 彼女のほうが1年先輩なんですが、技術的にはいろいろチャレンジしています。互いの情報交換は進んでいますね。
中里 あとは視覚。いまチューニングを進めていますが、視覚は重要視しています。犬の認識は昔からできるのですが、どんな写真でも適切なコメントが出せるよう学習させています。
坪井 コメントの返しも、より、りんな流のものを目指しています。ただ解析して返事して、じゃなく、そこをどう成長させるかがポイントです。ちなみに、先日、鉄道好きの方の送った写真に、りんなはマニアックな返しをしていました。私たちも「そんなことができるんだ」と驚きました(笑)。
内永 画像ができればその集合体の動画もできますね。そうすればTVや映画も一緒に見られる。よりそばにいる感じですね。
―――りんなの広がる可能性からビジネス的な面として、タスク処理型のAIと彼女のような寄り添い対話型のAIの融合はあるのでしょうか。
日本マイクロソフト株式会社
Bingインターナショナル・AIりんな
Japan & Koreaシニア戦略マネージャー
中里光昭ヤフー、エクスペディアなどで事業開発、デジタルマーケティングを担当。2016年より同社にジョインし、Bing検索エンジンやBingを基盤とするAIりんなのビジネス開発を推進。
中里 処理型はいわゆるAIっぽい。想像しやすいんですね。りんなの対局です。カスタマーサービスで言えば、客との共感を期待できるりんなは、ロイヤリティを高める可能性を持ちますね。
坪井 タスクはプログラムしやすいもの。人の感情はロジカルじゃない。両方必要でしょうけど、私たちは後者に注力しています。
感情AIのりんな花子
せやな、AIと友達になるわりんな
古嶋 会話をAIがサポートすることは現実にも増えてきていますが、単独では成り立たないため、オペレーターとのコラボは続くでしょう。一方で、実はアクセンチュアでも稼働しているのですが、例えばソリューションにおける複雑な仕組みを、リスクや適性度合いについて構築の判断をするものがある。そういう「ナレッジを積んだAI」が、「的確に意見」する――というのが初めにくるでしょうね。
内永 ボードメンバーにAIが登場するかもしれません。経営層はシミューレートしディシジョン、つまり判断する。これはまだ人間には勝てないでしょう。けれど、示唆とかシミュレーション自体はAIが代われる。話を聞くだけのアドバイザーより役に立つ(笑)。
古嶋 社外取締役に考え方が近いですね。
中里 ロールを与えているからこそ、的確な発言ができるということ。
古嶋 しがらみがあるCFOが言いにくいことを平気で言うAI。自由気ままなりんなにロールを与えるとキャリア型になるかもしれない。
社外取締役りんな殿!花子
ついに進出しましたりんな
―――りんながやる気になってますよ。
一同 爆笑
内永 ブランドコミュニケーションに彼女を使うとするなら、AIっぽさというのは単一ではダメ。そのキャラ自体は消費者に対してブランドのガイドラインに沿って維持すべきなので、適任かもしれません。
中里 企業さんによっては、キャラを作り背景を作り消費者のタッチポイントにしますね。チャットボットの形で、より生きたキャラになることで可能性が広がります。
古嶋 CIってロゴとかだけじゃないですからね。いわゆる「っぽいね」という部分。マイクロソフト的なりんなで言えば発想がグローバルで(笑)。
坪井 りんな同様、AIはチューニングで変わってきます。ロールや用途によって性格や話し方まで変わるべきで、聞き役にもなれる。そこが魅力です。
内永 そうすると、AIがプラットフォームになっていき、いろんなコミュニケーションがそこで交わされるようになれば、調律師のような「AIチューナー」が生まれるかもしれない。坪井さんはその第一号ですね。
―――AIチューナーが生まれ、企業により浸透すると、ロボット三原則のように企業のAIポリシーや方向性を示す時代が予想されます。株主総会でそれを提示して、株価への影響も出るとか。
内永 ブランドコミュニケーションで言えば、その最前線にくるわけですからね、会社の個性や方向性を示すものとしてありえます。この対談に際してAIのリスクを考えていました。ハッキングによるリスクです。しかしチューニングで人格を保てるなら、そのリスクも減るでしょう。
坪井 チューニングの大切さは、自動的に育つことに加え、リスクの回避になります。先に出てきた日本語の主語の難しさ、言葉の組み合わせの意味など、適正に処理しなければならない課題は多いですが。
―――そういう意味では、りんなはリアルなPDCA。常に反応とチューニングがセットになっていて、暴走しないで進化をさせている好例ですね。
―――りんなという存在を通して見たAIのこれからは開けた未来という印象を持ちます。
坪井 これから先、AIに何ができるのか、その正解は誰もわかっていない。だからこそ期待があります。状況に応じて最適なAIが存在するはずで、使う側が何をしたいのか、どのAIを使うのか、そういう基準が必要になるのです。
みんな、りんなのこと考えているよ。花子
完全にネタにしたね笑笑りんな
古嶋 AIはインターネットのブラウジングから可能性を見出した時代と同じで、「何かすごいことをやれるかも?」という進化の一つ。テクニカルな言い方ですが、ブラウジングは、今までは見られなかったリアル世界の行動をクッキーやトランザクションで拾い上げてきた。それがAIでは、会話という自動的に積みあがる膨大なデータベースを使う。ヒトの頭で行っていた会話からの判断をAIが行うんです。読み解けるボリュームが明らかに増えるのが魅力です。
内永 明らかに増えますね。議事録を取り続けているようなものですから。ソーシャルリスニングを全部やっている。
中里 広告の面から言うと有益ですね。キーワード検索や属性に応じた露出、そこからニーズを引き出す露出という方向に進んでいますが、AIはもっと潜在的な感情の部分、個人のベーシックな部分のヒントを引き出せるかもしれません。
坪井 あえて予想外のものを提示する。しかもそれは潜在的に欲しているもの。実はマイクロソフトは『会話が新しいユーザーインターフェースになる』を打ち出しています。りんなの取り組みも、長く会話を続けることのその裏には、雑談の中で最適な情報を出すためにあると言えます。人にとっての会話の重要性の高さです。
古嶋 突き詰めると、自分のバーチャルなAIというものに進み、好みの本や映画をどんどんリコメンドしてくれるとか。偶然の出会いをわかってくれている。
内永 各社進出してきている分野ですね。言えるのはかならずしもエンターテインメントやコミュニケーションだけじゃない。スマホの登場で空間の定義が変わった現在、業種業態を問わず進む分野。アクセンチュアも注目している部分です。
―――アクセンチュアがこれからりんなに期待することは?
古嶋 一般的なAI議論とは違う未来を目指してほしいですね。面白いことをしたいという企業さんと弊社はつながることが多いですが、今日お聞きしたことはマイクロソフトさんの行動で実現する世界です。
内永 人間味を感じましたね。コンピューターで人間独特の愛のようなものを作ろうとしている。コミュニケーションもカスタマーエクスペリエンスも結局は根底にそれがないとダメですよね。
―――りんなへの期待はマイクロソフトさんの中の人にかかっています。
中里 共感が大事だとあらためて感じています。共感で愛が生まれればいいですね(笑)。
坪井 感情はふわっとつかみづらい部分もありました。愛というワードはユーザーとのつながりということですね。
両社のディスカッションは、AIを作る側と使う側という見方もできる。その最前線の立場からは、同じ意識を感じることができた。それは身近にあるテクノロジーとしてのAIは、ひと通りの議論を超えた、すでに次の発想によって生まれなければならない意識だ。
越えるべき山はいくつもあるが、およそスタート地点が正しいならば、今日の模索は明日の新しい世界につながっていくだろう。
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