#7 顧客ニーズの、その先をつかめ 部署も国も超えた連携が真に価値ある提案を生み出す

制作・東洋経済企画広告制作チーム / 日本オラクル

昔のやり方では、モノが売れなくなってきている。あらゆる産業がグローバル化し、インターネットの普及で顧客へのアプローチが変わる中、いまデジタルツールを駆使したマーケティングに注目が集まっている。グローバル企業として成長を続けるダイキン工業では、さらなる飛躍を目指し、デジタルマーケティングを推進。そこから得られる情報を駆使したマーケティング、効率的な営業活動にも取り組み始めたという。

問い合わせ内容や対応を一元管理 顧客への提案力強化へ

新家 伸洋

ダイキン工業
化学事業部 マーケティング部 部長

新家 伸洋

さまざまな元素と反応して特徴のある材料を作るフッ素。空調の冷媒をはじめ、自動車や住宅、半導体や医療器具などあらゆる用途に使われており、その市場規模は今や9000億円ともいわれている。そのフッ素化学事業で世界シェア20%を占め、世界第2位の売上高を誇る企業がある。それがダイキン工業だ。ダイキン工業・化学事業部・マーケティング部の部長・新家伸洋さんによると、フッ素化学産業を取り巻くビジネス環境は大きく変化しているという。

「20年前なら国内市場だけを見ていればよかったのですが、用途や市場の広がりを受け、フッ素化学産業はグローバル化が進んでいます。国内のお客様が海外へ事業を広げているほか、欧米のお客様もグローバル展開を行っており、より特徴のある材料を求められるようになっています」

そこで重要になっているのが、グローバルで事業展開を行う顧客のニーズにマッチした提案だ。顧客の多くは機械や電気、電子メーカーだが、ダイキンは化学材料メーカーである。さまざまな分野の顧客の事業や製品だけでなく、ビジネス環境の変化や特許動向など、幅広い情報を収集し、今後必要になるであろう材料や機能を提案しなければならない。

そのため、ダイキン工業・化学事業部は2016年にマーケティング部の設立とともにデジタルマーケティングに着手。2016年に発表した戦略経営計画「FUSION20」では、マーケティング力の強化によって顧客への提案力を目指すことを明記している。しかし、そこには課題もあった。

「以前は、地域ごとに独立してマーケティング活動を行っていました。しかし、情報が共有されていないと『日本とアメリカでは言うことが違う』という事態が起きかねませんし、それではお客様を不安にさせてしまいます。グローバル化が進む中、社内で連携し、同じベクトルで動くことがより重要になっているのです」

これまでもメールに加え、電話会議やフェース・トゥ・フェースの議論などを行い、各国の拠点の現地社員と英語でコミュニケーションを図ってきた。しかし、国によってマーケティングに対する考え方や課題解決のプロセスが異なったり、グローバル全体で動きが把握できないという課題があった。また、顧客からダイキン工業へのアプローチも電話からウェブサイト経由へと変化しているという。

「ウェブサイトからお問い合わせいただくと、そのお客様に最も近い拠点に担当を割り振っていたのですが、その後どのような対応をしたのかがわかりません。そのため、マーケティングに役立つグローバルなデータベースが必要でした」

そこで2018年10月から導入されたのが、「Oracle Engagement Cloud」と「Oracle Marketing Cloud」の「Oracle Eloqua」だ。まずはマーケティング部門を中心に、日米欧のスタッフ100名ほどで試験運用を始めている。

「これにより、お客様からの問い合わせ内容や対応を一元管理できるようになりました。英語でお客様の情報を入力することで、欧米拠点は日本の、日本国内は欧米拠点の動きがよりわかるようになりました。日米欧でデータベースを共有することで、『このお問い合わせに対しては、過去のこの事例が参考になる』『この分野は社内のこの人が詳しい』といった情報共有がしやすくなりました」

マーケティングツールが 社員の意識を変える

さまざまなデジタルマーケティングツールの中からオラクルを選んだ決め手について、新家さんはこう話す。

「まずは、グローバル対応が可能な点です。そして、これまでの実績からくるサービスの使いやすさ、さらにマーケティングと営業が連携しやすいという点もありました」

クラウドの導入は同社が掲げる「協創」を推し進めるエンジンにもなっているのだという。日米欧で共有した顧客情報を精査し、必要な情報を付け加えたうえで月に1回、フェース・トゥ・フェースで営業部門に情報提供をしているのだ。営業部門がマーケティング部門の動きや情報の充実度を理解することで、営業部門からさまざまな提案や相談がくるようになったという。「Oracle Eloqua」と「Oracle Engagement Cloud」の導入は、単なるツールの導入ではなく、意識改革だと新家さんは語る。

「試験運用には営業部門からも数人参加してもらっていますが、営業活動を英語で入力するのは手間がかかります。目的は情報共有なので、つまりは他人のための入力作業になるわけです。しかし、これが重要になります。マーケティング部門でもさまざまな情報収集をしていますが、直接お客様と接する営業担当者は新鮮な情報を持っています。その情報を共有することでお客様にとって価値ある提案を生み出すことができますし、ひいては企業ブランドや価値向上につながります。『Oracle Eloqua』と『Oracle Engagement Cloud』は、こうした社員の意識改革を後押しするものといえます」

アメリカやヨーロッパのスタッフも「一緒にビジネスをしている」という一体感が強まっているという。

「日本の化学業界では、効果が数字で見える生産現場と違い、マーケティングなど効果を定量化できないものに対するデジタル投資は難しいのが現状です。しかし、欧米の化学業界ではすでにデジタルマーケティングへの投資が進んでいます。当社でも海外拠点と情報を共有することで、『海外ではこんな事例もあります』といった、お客様に対して価値のある提案ができるのです」

マーケティングを中心に100名ほどが参加している試験運用で成功事例を作り、2020年には営業部門や技術部門も加わった本格運用へと進む予定だという。

ウェブサイトに来訪した顧客をしっかりキャッチし、技術・マーケティング・営業が一体となって価値のある提案を行う。フッ素化学産業を牽引するグローバル企業の取り組みは、ダイキン工業だけでなく、業界にも大きなインパクトを与えることだろう。

Oracle Cloudの詳細はこちら

It goes better with "Digital"

ウェブサイトに訪れた顧客の問い合わせ内容から、
その後の対応の詳細までをグローバルで
一元管理する体制を整えたダイキン。
この情報を真に価値ある提案につなげるためには、
まず社員一人ひとりの意識改革が必要ということだろう。
個人にとっては手間がかかる情報共有の積み重ねが、
組織の力となるまでに、どのくらいの時間を要するか。
これからが本当の見どころだ。