INTRODUCTION

 近年、世界規模で今まで経験したことがない異常気象が各地で起こっている。気温の上昇にとどまらず、大雨、干ばつなどの災害は世界経済に影響をもたらし、今後ますますの深刻化が懸念されている。

 こうした「地球温暖化」を巡り、いま世界では各国を巻き込んだ対策が協議あるいは実行に移されている。京都議定書の後継として2015年に第21回気候変動枠組条約の締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は、173カ国(2018年1月時点)が参加する国際的な枠組みだ。パリ協定には、世界全体での気温上昇を2℃以下に抑制する「2℃目標」が掲げられている。この目標を達成するためには、抜本的な技術革新を図り、経済成長や社会問題解決を同時に実現することが必須と言える。

 目標達成のために、具体的にはどのような温暖化対策がとられているのかご存知だろうか。対策を進める上で重要な2つのキーワードについて今回ふれておきたい。

 まず一つ目がSDGs(持続可能な開発目標)。国連加盟国が2030年までに取り組む持続可能な世界を実現するための国際目標だ。全17の目標と169のターゲットが掲げられている。この中には教育や雇用だけでなく気候変動やエネルギーなど温暖化対策につながる目標が設定されており、パリ協定とあわせて重要な温暖化対策の枠組みと言える。

 二つ目がサーキュラー・エコノミー。遊休資産の活用・資源再生によって、今ある資源を最大限活用することで利益を生み出すビジネスモデルだ。最近はこれまでの採って作って捨てる「一方通行型」の流れから、空いているモノを活用あるいは修理・再生して使い続ける「サーキュラー型」へのビジネスモデルへの変革が世界的に起こっている。たとえば、カーシェアリングなどシェアリングビジネスがこれに当てはまる。再生あるいは共有することで資源の無駄をなくし経済を活性化させる流れは、温暖化対策に大きくプラスに作用すると言える。

 こうした世界的な温暖化対策の動きが展開されるなかで、国内では政府を挙げて進めている国民運動「COOL CHOICE」がある。2013年度比で26%削減するという目標達成のため、省エネ・低炭素型の製品への買換え・サービスの利用など地球温暖化対策に資する「賢い選択」をしていこうというものだ。この取り組みの中で、どんな賢い選択につながるアイデアや技術が生み出されるのだろうか。1~5の各章から見てみよう。