

グローバルアセットビジネス
(航空機・航空機エンジン、鉄道貨車、
船舶・海上コンテナ)
M&Aや提携を通じて、急速に拡大する三菱UFJリースのグローバルアセットビジネス。航空機、航空機エンジン、船舶、コンテナ、鉄道貨車など、世界中に高い需要があるアセットを対象に、リース・ファイナンスの枠にとどまらないビジネスを展開している。
M&Aや提携を通じて、急速に拡大する三菱UFJリースのグローバルアセットビジネス。航空機、航空機エンジン、船舶、コンテナ、鉄道貨車など、世界中に高い需要があるアセットを対象に、リース・ファイナンスの枠にとどまらないビジネスを展開している。

航空機分野での
提供機能を拡大

常務執行役員
佐藤 直樹氏
三菱UFJリース(MUL)が航空機のオペレーティングリースを本格的に立ち上げたのは、今からちょうど10年前の2008年のこと。アイルランドのダブリンに拠点をつくり、着実に保有機体を増やしていった。そして2013年には米国に本社を置く航空機リース会社、Jackson Square Aviation(JSA)を買収し、事業の拡大・強化に成功した。その経緯を航空機事業部門を率いる常務執行役員の佐藤直樹氏は次のように説明する。
「市場性に優れるナローボディの航空機を主に扱っていること、機齢が若く、ポートフォリオのクオリティが非常に高いことから、JSAに着目しました。また、航空機メーカーとエアラインの間に立ち、実需の裏付けのあるセールアンドリースバックという方法で案件を獲得している点も、当社の戦略に合致していると考えました」
買収時、JSAが扱っていた航空機は約60機。5年後の現在では、良質なポートフォリオを維持しながら保有・管理合わせて170機に拡大させている。
また、2014年にはアイルランドを本拠に航空機のエンジンリースを手掛けるEngine Lease Finance Corporation(ELF)を買収し、エンジンリース事業にも参入。さらに2017年には合弁会社を通じて、航空機エンジンのパーツアウト事業への参入も果たした。
「機体、エンジン、パーツアウトと、航空機の分野で一気通貫のサービスを提供できる体制が整いました。エアラインの多様な需要に応えられるのが当社の強み。航空機リースでは過度に機数を増やすつもりはありませんが、体質を強化し、資金的な余力を蓄えながら、10年後までには250~300機の規模を目指します」(佐藤氏)
世界の航空機需要は過去数十年にわたり拡大を続けている。またエアライン各社が航空機をリースで調達する割合も増えている。その成長市場でMULは今後、ますますその存在感を高めていきそうだ。

鉄道貨車リースの
プラットフォーム構築へ
ロジスティクスの領域でもMULの躍進は目覚ましい。まず着目すべきは北米で展開する鉄道貨車リース事業だ。2014年、米国第2位の貨車メーカー、The Greenbrier Companies(GBX)グループと業務提携を結び、鉄道・貨車を中心とするアセットファイナンス事業に参入。2017年には貨車管理サービス会社をGBXと合弁で設立。さらに当社独自の事業プラットフォームとなるMUL Railcars(MULR)を立ち上げた。
「鉄道貨車リースはミドルリスク・ミドルリターンの市場です。これまでは既存の貨車を購入してリースするファイナンス色の強い事業でしたが、今後は、自社によるマーケティングや売却などによる本格的な事業フェーズに入って行きます。トップメーカーとの提携強化と専門サービス内製化の利点を生かし、鉄道貨車リースの総合的なプラットフォームを構築していきたいと考えています」
こう語るのは、ロジスティクス事業部門長で常務執行役員の安野健二氏だ。現在、同社が米国市場で管理する鉄道貨車は約7000両。これを2万5000両に増やしていくのが当面の目標だ。この規模になれば全米でトップ10に入る。
「今のペースで行けば2020年度には目標が達成できそうです。そこまでいけば保有している貨車を他社に売却したり、中古車両を買い入れるなど、事業ポートフォリオを機動的に組み替えることができるようになります。提携先の知見も生かし、周辺サービスなどの領域も視野に入れビジネスを広げていきたいと考えています」(安野氏)

©AIRBUS
AIRBUS社のA320に代表されるナローボディの航空機

インターモーダルに必要な
すべてのピースがそろった

常務執行役員
安野 健二氏
国際物流の要となる船舶の建造・購入などの資金ニーズに対するファイナンスサービスや海上コンテナリースでも、MULは積極的な戦略を展開している。船舶では融資を軸にポートフォリオを構築。今後は需要拡大が見込まれるオイルやガスなどの海洋資源開発にかかわる船舶にもウイングを広げていく構えだ。
「海洋開発関連の船舶の場合はエクイティ(投資)を主体にし、融資と投資のポートフォリオで安定的な収益を得る方針です」(安野氏)
もう一つの軸であるコンテナリースでは、世界規模で海上コンテナリース事業を展開するBeacon Intermodal Leasing(BIL)を2014年に買収。世界中の海運会社とリレーションを構築し事業を拡大、会社設立から10年でコンテナリース業界大手の会社に躍進した。BILは2008年に設立された比較的若い会社。今後はリース収入だけでなくコンテナを売却することで、キャピタルゲインも期待できる。
また、ロジスティクス部門ではこの4月、新たに自動車室を設置した。同社はこれまでもグループ会社を通じてオートリース事業を手掛けていたが、EV(電気自動車)や自動運転などの登場で自動車業界は大変革期を迎えようとしている。そこにビジネスチャンスを見出し、フリートマネジメントサービスなど多角的な自動車関連サービス事業を拡大していくのが、自動車室新設の狙いだ。
これで同社はインターモーダル輸送(複合一貫輸送)に必要なピースがすべてそろったといえる。グローバルアセットという観点のみならず、ロジスティクス分野でもMULに対する期待と注目はこれからさらに大きくなりそうだ。

MULRが保有する貨車の一例
