


次の50年を見据え
お客様とともに挑戦を続ける
興銀リースは2019年に設立50周年を迎える。第5次中期経営計画は次の50年の発展を見据え、さらなる飛躍を目指すものになっている。「お客様と共に挑戦を続ける、価値創造カンパニー」をビジョンに掲げ、コアビジネスを徹底して深掘りするとともに、新注力分野にも積極的にコミットする考えだ。
代表取締役社長 本山 博史氏
PROFILE ■ 1977年日本興業銀行入行。2004年みずほコーポレート銀行執行役員IT・システム統括部長。2007年みずほフィナンシャルグループ常務執行役員企画グループ長兼IT・システム・事務グループ長。2009年みずほコーポレート銀行代表取締役副頭取内部監査統括役員。2011年みずほ証券代表取締役社長。2016年6月より現職。
興銀リースは2019年に設立50周年を迎える。第5次中期経営計画は次の50年の発展を見据え、さらなる飛躍を目指すものになっている。「お客様と共に挑戦を続ける、価値創造カンパニー」をビジョンに掲げ、コアビジネスを徹底して深掘りするとともに、新注力分野にも積極的にコミットする考えだ。

経営者の視点で
ニーズを発掘
―日本興業銀行(現みずほ銀行)、みずほコーポレート銀行(同)副頭取などを経て、2011年6月にみずほ証券社長に就き、過去最高の業績も達成されました。2016年に貴社のトップに就任されましたが、リースビジネスを取り巻く環境変化をどう見ていますか。
本山国内の設備投資は基本的には大きく伸びないでしょう。一方で、マイナス金利がこれだけ長期化しており、銀行も貸出先を一生懸命探そうとしています。単純なファイナンス・リースであれば、銀行とも同業のリース会社とも競合することになります。今までと同じようなリース業務を展開しているだけでは限界があります。
お客様を取り巻く社会構造・産業構造が変化する中で、これに対応した柔軟かつ広範な課題解決力を提案しなければなりません。
―お客様が抱える課題をとらえ、的確な提案を行うためには、行動や考え方を改める必要がありそうです。
本山そのとおりです。たとえばある企業がパソコンを導入する場合、機種やソフトが決まってから訪問しようとしても「来なくていいので料率だけ出してください」と言われてしまいます。
そうならないためには、お客様の商流のいろいろな段階に私たちが絡み、サポートできないか考える必要があります。リースの活用によって企業の財務面での課題を解決できることが多くあります。その点では、企業の調達の部署の方だけでなく、最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)などにとっても重要なテーマなのです。そのような方たちと面談し、ニーズを掘り起こしていくことが大切です。

第5次中期経営計画の二つの柱
―2017年度を初年度とする第5次中期経営計画もスタートしています。1年が経過しての手応えは。
本山中期経営計画のビジョンとして「お客様と共に挑戦を続ける、価値創造カンパニー」を掲げています。あくまでもお客様が起点であること、さらに、ある程度のリスクも取りながらお客様とともに価値を生み出したいと考えています。1年を経て、継続注力分野、新規注力分野ともにそれぞれ実績が上がってきました。まだ途中段階ですが大いに手応えを感じています。
―同中計においては「コアビジネスの深掘り」と「新規注力分野への取り組み」が柱になっています。それぞれの戦略についてお聞かせください。
本山当社は大企業・中堅企業の製造業・内需型産業などのお客様と強固なリレーションがあります。コアビジネスについてはこれらのお客様に対して、前述したように、リース・割賦だけでなく、お客様の商流を全体的にとらえた提案を行っていきます。また当社は不動産分野でも長年にわたり培ったノウハウ、知見があります。大手店舗開発事業者との提携による店舗リース、大手REITスポンサーに対するブリッジ案件、さらにはヘルスケア、保育施設、ホテル、海外不動産などにも注力していきます。
新規注力分野としては「医療・ヘルスケア」「環境・エネルギー」「テクノロジー」「グローバル(航空機・海外現地法人)」などがあります。当社は2011年、独シーメンスグループの日本における金融子会社を買収しました。医療機器メーカーなどとの連携によるサービスビジネスにも着手しています。2016年には米大手航空機リース会社エアキャッスルと合弁会社を設立しました。また同年にはタイで現地リース会社から約4000台のオートリース債権を買い取り、同事業に進出しました。


リスクリターン運営を強化
―リース業界では最近になって、自社でリスクテイクをし、新規事業に進出する例が増えています。貴社が重視するポートフォリオマネジメントの高度化とはどういうものですか。
本山新注力分野にコミットするためには、財務体力を踏まえた適切なリスクテイクが不可欠です。当社では、リスクリターンを適正に管理するために、事業ポートフォリオと財務ALM(資産・負債の総合管理)を一体化したリスクリターン運営を行っています。
―さらなる成長に向けて、ポイントになるのは。
本山中計で掲げた「挑戦」ができるかどうかです。ただしいくら私が「変わらなければならない」と言ったところで、どうやってリスクを取ればいいのかわからないとなかなか行動もできません。ポートフォリオマネジメントで取れるリスクの種類・総量を明確化したのもそのためです。結果的に収益につながらなくても挑戦したプロセスを評価する仕組みも必要です。トライ&エラーの企業文化を醸成し、失敗を恐れないような人材の育成も若手中心に考えています。
―中計の最終年度には設立50周年を迎えます。節目の年、さらに次の50年に向けて目指す姿は。
本山引き続き、時代の変化に合わせて自らを変革し、お客様と価値を共創することで社会貢献と持続的成長を遂げ、豊かな未来を創造していくことが重要だと考えています。
一方、テクノロジーの進展に伴い、これからはモノではなくデータをどうリースで扱っていくかが大切になるでしょう。コンピュータやサーバー、データセンター、loT、AIなどお客様のデータを使ったビジネスに私たちがどのようなサービスを提供できるかがカギになります。データという視点でビジネスをもう一度くくり直すといろいろな展開があります。自由度の高いリース会社だからこそ提供できるソリューションもまだまだ多いと感じています。
